35-1.ストロベリーの気付き
セッカとストロベリー、ロベールの三人は変わらず貴賓室にいた。
この町の防衛戦に協力するために、サイファーとガーネットは西門に向かい、ミーナをジェットは北門に配置された。
マリアとサリーもこの部屋にいたが、マリアが小用のために退出しサリーが追いかけて行ったところだった。
「ねえ、セッカさん。私ちょっと気になったんですけどね」
ストロベリーがセッカに声をかける。
「どうかしました?」
「エイムさんって言いましたっけ。あのお方の事はよくご存じなんですか?」
「ええ、友人と言って差し支えないと思っています」
「まあ! そうなんですね」
「そのことが何か?」
セッカが聞くと、ストロベリーは口ごもる。この場にロベールがいることが気になるようだ。
「??」
ロベールはそういう機微に疎い。不思議がるばかりで察しが悪かった。
「セッカさん、ちょっとお耳を」
「は、はあ……」
セッカがストロベリーに近寄って耳打ちするように促した。
「……!? そうなの?」
「ええ、間違いないと思います」
「戦場に立たせるのはまずいわね」
「止めてあげて下さい」
「任せて。行ってきます」
セッカは急ぎ退室した。
「どうかしたんですか?」
「何でもないですよー」
ロベールは尋ねるが、ストロベリーは平然とごまかした。
西門では戦闘が始まっていた。
西門も北門と同様に二重構造の門になっていて、こちらは最初の門を突破した先に90度右に折れた通路があり、その先に二つ目の門がある。こちらでは最初の門をあえて開け放ち、それほど広くはない通路で敵を迎え撃つ作戦がとられた。
西門に回されたザグレーブ守備隊のリーダーはガーネットより少し背は低いものの大柄の女性兵士で、長柄の曲刀を自在に操っていた。
彼女は西門の通路にガーネットと並んで立ち、ガーネットに劣らない膂力で魔族の侵入を阻んだ。
「あんた! なかなかやるねぇ!」
ガーネットは隣の女性兵士に視線も合わせぬまま声をかける。
「どーも!」
それでも抜けてくる敵に対しては、姿を消したサイファーが急所に一撃を入れて仕留める。
ファムファテルの読み通り、西門を突破するために来た魔族の数は多くない。守りは盤石に思えた。
ガーネット達の正面の敵が一つ目の門まで引いて体勢を立て直すと、西門での戦いは膠着した。
北門での戦闘はまだ始まっていない。
正面の城壁の上に整列した銃部隊の存在が、魔族の軍の前進を躊躇させていた。
ジェットが危惧していた”銃の使用を封じる魔法”の存在はザグレーブ防衛隊の中で共有されていた。
ザグレーブ防衛隊の銃はまだ封じられていない。
「アンチファイアの射程は存外短いのじゃろうな」
跳ね橋の向こう側で整列したままの魔族を、城壁の上で眺めているファムファテルが言う。
「半円上の全面からの銃撃をかいくぐって魔法の効果範囲まで近づくのは勇気がいりますね」
「そうじゃな」
エイムは、敵の立場から戦況の分析をしてみせた。
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