34-1.試射
ザグレーブの練兵場に銃声が響いている。
ジェットが新型銃の試射をしていた。銃はエイムがマルボークから持ち込んだもので、銃の使用者を固定するための作業……アチューンをしていないものだった。
王国圏で開発された魔法銃は、弾丸内に込められた火薬に魔法で着火して発砲する。
魔法銃は銃身の底に魔方陣が描かれていて、その魔方陣から発した小さな火花が弾丸を発射する仕組みだ。
魔方陣はそれを描いた本人にしか反応しない。それが戦場で他人の銃を誤って発砲させないための仕組みになってる。
完成された銃を一旦分解し、銃身の底を支えるネジの先に魔方陣を焼き付けて、使用者を固定する作業をアチューンと言った。
「すごいでしょ?」
マガジンの中の6発を撃ち切ったまま惚けていたジェットにエイムが後ろから声をかける。
「ええ、本当に」
「マガジンを交換して」
ジェットは慣れない手つきでグリップ部分のマガジンを外して交換する。
ジェットがそれまで所持していた旧式の銃は銃口から1発ずつ弾丸を装填させなければならなかった。
新型は次弾がマガジンから自動的に装填されるため連射が可能だ。
約20メートル先にある藁人形の的に向かってジェットが再び撃ち始める。
全弾命中していた。
「それに、弾道の安定感がまるで違う。狙ったところにちゃんと飛んでくれる」
「銃身の内側に刻まれている溝のおかげなの。この溝が弾に横方向の回転を与えることでまっすぐ飛ぶらしいわ」
「ずいぶん革新的ですね。もしかして」
「そう。これは転移者の知恵」
ファムファテルはサイファーとガーネットを連れて西門へ視察に来ている。
「西門は多勢で寄せられるような構造をしていない。主力は北門を攻めるはずじゃ」
「門を二つ突破しないと町に入れないし、門自体も小さいな」
ファムファテルの説明に、サイファーが注釈を入れる。
「で、こっちに回ってくる戦力はどれくらいなんだい?」
ガーネットがファムファテルに問う。
「そうじゃな、せいぜい5から10。少ないほど精鋭だと思った方がいい」
「なるほど。でもその程度の人数で町に入って何しようってんだい? 占領できるもんでもないだろ」
「追ってきてるんじゃよ」
「誰を?」
「裏切者……じゃな」




