33-1.大魔導士のお出迎え
「やれやれ、やっと出てきおったな」
ザグレーブ西門の先にある広場で、城門を通過するための審査を観察する人影がふたつあった。
「そのようですね。早速接触しますか?」
「無論じゃ」
緑色の法衣を着た幼い少女が先に進み、軍服姿の女性が続く。
「あれは……」
馬車を先導しているサイファーが真っ先に二人の存在に気が付いた。騎馬の四人は全員下馬している。
「サリー、姫さんとセッカを呼んでくれ」
「えっ?」
「予想外のお出迎えだ」
サイファーはサリーの方を向いたまま背後の二人を親指で指差し示す。
「あ……、承知しました」
サイファーが馬の手綱と取り、サリーが幌の中へ入る。
「ここまでの旅は問題なかったかの?」
近寄って来た法衣の少女がサイファーに声をかける。
「ああ、問題ない」
「なんであんたがここにいるのさ?」
サイファーと法衣の少女との会話にガーネットが割り込む。
「まあ、ヤボ用でな」
「お久しぶりです。ファムファテルさま」
幌の中から姿を見てたマリアが法衣の少女に声をかける。
「無事で何よりじゃな、マリア。卒業式以来かの?」
「そうですね。宮廷魔導士さま、王都に来られないんですもの」
馬車から降りたマリアがファムファテルに向かい合って言った。
「まあ、何かと忙しくてな」
「ねえ、あの女の子ってもしかして」
やや遠巻きに見ていたジェットがガーネットに声をかける。
「ああ、ここらの国で一番偉いやつって聞いてる」
「大魔導士ファムファテル。初めて見た」
「お貴族様のお付きって身分でもかい?」
「ああ、雲の上の存在だね」
「へぇ」
「それにしても……」
ジェットはファムファテルの後ろに控えてる軍服の女性に見覚えがあった。
「この街にはどのような用向きで?」
「なに、この街に来ようとしてる団体の対応をな」
「団体ですか?」
「詳しい事は騎士団の方で」
「そうじゃな。往来でする話でもあるまい」
ファムファテルの後ろに控えていた軍服の女性が話に割って入るとファムファテルが同意する。
「皆様もどうぞご一緒に」
軍服の女性が一行に付いてくるように促した。
ザグレーブの街は騎士団が統治している。なので政庁としての機能を有する官舎が街の中に複数あった。一行を案内しているのはその中でも中央のものである。それは、要塞としての機能を併せ持つ”城”であった。厳重な門をいくつも超えて中央官舎に到達する。




