31-2:新型銃の噂
「もしかして、この中に銃使いがいます?」
青髪の女性隊員はそう言いながら視線で一行の装備をチェックすると、ジェットが拳銃を所持していることを確認した。
「ああ、それなら僕が」
銃を見られたことを認識したジェットは、女性隊員に銃を見せてそれが自分であることを示す。
「ああ、やっぱりそうなんですね。見覚えのある型の銃なんです、それ」
「どういうことです?」
「以前、うちの隊にそれと同じ銃を持った銃使いの子がいたんですよ」
「なるほど、それで」
「アンー! サボってないで魔物の処理手伝って!」
パトロール隊のリーダーとおぼしき男性が女性隊員を呼んだ。
「あ、はいー! すみませんね、呼び止めちゃって。それでは、よき旅を!」
「ありがとうございます」
「銃部隊の候補生がパトロール隊に入ってるってこともあるのね」
「そうみたい」
仲間のもとに戻って行くアンと呼ばれた女性隊員の後ろ姿を眺めながら、ミーナがジェットに話しかける。
「気になるの? あの娘のこと」
アンを目で追っていたジェットを見とがめてミーナがからかうように言う。
「いや、そうじゃないけど」
「ふうん」
ジェットが気になっているのは、どちらかというとパトロール隊に属していたという銃使いの方だった。
(魔物との実戦を積み上げて来た銃使いの実力とは、どの程度のものだろう?)
その日の一行の旅はその後順調に進み、日が落ちる前にエイサムという小さな町に到着した。
サノセクから北への街道は、西の王国の都への街道に比べて賑わってはいない。宿場町も同様で、街道脇の農場で働く人達の集落を兼ねたごく小さな町がほとんどであった。
エイサムも町もその枠から外れない。マリアの一行は町唯一の宿を取り、町唯一の食堂でその日の夕食を取っていた。
総勢で10名になる一行は、二つに別れてテーブルを囲んでいる。
マリアがいるテーブルにはサリー、ストロベリー、セッカ、ロベールがいて、もう一つのテーブルにはミーナとジェットの姉弟、サイファー、ガーネット、そしてバーバラがいた。
「聞いていたよりもこちらの街道は往来が少ないようね。やっぱり魔物が出るから?」
マリアが率直な感想を口にする。
「そうですね。元々サノセクからマルボークへ向かう商人は少ないみたいですし」
と、セッカが答える。
「東の国からの輸入品は、絹織物とか珍しい調度品とか、最近だと香辛料も増えてるみたいだけど一応戦時下って建前のマルボークにはあまり必要ないですしね」
「なるほど」
サリーの説明にマリアが納得する。
「えっ? 騎士団の銃部隊で使っている銃ってそんなに進化してるんですか?」
「そうそう。一発づつ弾を込めるなんてことはしてないみたいだね」
もう一つのテーブルではジェットが騎士団で採用されている新型銃についての話に興味を引かれている。
「……一発づつ込めなくてもいいってことは次弾はどこに仕込んで? まさかグリップに?」
「いやあ、詳しいところまではあたしには分かんないけどさ」
ガーネットは苦笑いで応える。
「こんばんはー! 今日は賑やかっすねー」
そんな時、食堂の扉が開き快活な女性の声が響いた。
「あ、あの娘は」
ジェットが声のした方を見ると、昼間に出会ったパトロール隊のアンと呼ばれていた女性隊員がいた。




