序章
―-星がある。
―――それは今まで、ずっと栄えていた星……。
辺りには、食べ物や貴金属、
ボロボロになった建物。
文明人が使ったように思われる兵器までもが、無造作に捨てられている。
ゴミ屋敷のように。
――――暗い。
"タイヨウ"と言われる星が見えなくなると、そこは、猫一匹もいない、ただの見捨てられた星になった。
その中に、一人だけ、いや、一つだけ、動いているものがあった。
それは、錆付いた機械人形。
その人形は、体育座りのポーズをしていた。
………ザザー……ザー……ザー……
ノイズの音が聞こえてくる。
『……よし、OKだ……』
錆ついた人形から少し老けたような男の声が聞こえて来た。
録音でもしているのか、ただ一人音を出している。
そして、人間の胸と呼ばれる部分に手を置いた。
『……ハローハロー…………すこし僕の話を聞いてくれよ………僕は、自分の名前までも忘れてしまったんだ……………。』
機械はゆっくりと声を出した。
『…しかしそんな僕にも一つだけ覚えているものがある……それは、"僕"にとって、とっても大事なものなんだ……。………それはね…………。』
機械は楽しそうに、そして寂しそうに語りかけた。