おねぇ聖女が凄すぎて、歴史書には残すことができません!9.王女とのお茶会
私はエドガー・バルマー。マリアと共に第一王女クララ様のお茶会に呼ばれた。胃が痛い……
「エドガー、アグネスは元気かしら?」
ぐ……クララ様の言葉が重い。勇者アグネスが謁見の間で不敬にあたる事を言わなければ……
「はい、私も微力ながら更生に協力し、アグネスを立派な……」
ピシリとクララ様が扇子を鳴らした?! クララ様は人が話をしている途中にそのような事をする方ではないのに……
「うふふ、更生は必要ないですわよ?」
恐ろしい……クララ様のお考えがわからない。私の背中は汗でびっしょりだ……おい、マリア! 呑気に菓子を食べるな!
「お父様は王国にめでたい事と言いましたが、勇者が二人もいるということは後々厄介なの……」
後々……? はっ、確かにクララ様と勇者ハインツ殿の間に子供が生まれ、アグネスにも子供ができたら勇者の血で火種になりかねない……
「でも、心配だから……チョッキンしておいた方がいいかしら……」
王国の分裂を防ぐ為なら手段を選ばず……なんて王族は恐ろしいのだ。クララ様の笑顔に下っ腹が痛くなる……
「ふふ、冗談よ。でも、父の前での発言は気を付けてね……」
変態を変態のまま放置しておいた方が良いというお考え……クララ様に逆らうのは危険だ。こんな一面があったとは……
「ところで……アグネスはあの時、マリアみたいにって言ってなかった?」
マ、マリア! 喉を詰まらしている場合じゃない! クララ様にどのように答える?
「ほ、ほら〜? 王国の夜の治安は良くなってるでしょ〜」
クララ様の顔が笑っていない……聖女の子供も危険の対象という事なのか……だが、「聖女の記録書」では聖女が子供を宿した記載もあるし、その子が聖女になるとは限らないと書かれている……まあ、マリアは男だが……
「わかったわ。でも、あまり度を越さないようにね。変な兵士が増えても困るから……あと、ハインツ様に手を出したら……」
おー、マリア……いい笑顔で首をブンブン横に振ってるな。お前一回狙っていたろ……
「ところで確認があるのだけど……聖女は他にもいるのかしら?」
私は「聖女の記録書」の内容を思い出すが、そのような記載を見たことがない……クララ様の意図は分からないが答えておくとしよう……
「恐れながら……」
「いるわ……」
私が答えようとしたらマリアが被せてきた……って、いるのか!? マリアどういう事だ!
「そうなの……じゃあ、エドガー、よろしくね」
何が起きようとしているのだ!
このシリーズで続きを匂わす展開となりました。