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プロローグ

 


 崖のような切り立った場所を転がるように降りて行く。

 途中にある枯れた木の枝を掴もうとしたがまるで3D映像のようにすり抜けてさらにその下にある岩場に叩きつけられてしまう。


 痛みはない、汚れでもないし、走って疲れもない。

 それは自分が死んでいるからだ、なら何故逃げているかというとーーー


「おい、さっさと殺せよ」


『魂だけの存在で死神にここまで逆らうとは...』


 ここは冥界の果て。


 死んだ生き物が集う場所、魂の記憶を浄化して新たな生命に生まれ変わるための前準備をする場所だ。


『もう一度言う、其方は死ぬのにあらず。記憶を切り捨てて無垢なる魂へとなり、新たな旅立ちをする為にここにいる』


 記憶を刈り取る大鎌を持った死神が目の前で倒れた少年の魂に向けて2度目の説明をする。

 しかし少年は片端を歪めてその行為に否と結果を否定した。


「いいか、俺にとって死は今まで生きてきた記憶を消されること。もう一度いうぞ?記憶を消されることは死ぬことと同じだと分かれ!この木偶の坊!」


 冥界の管理者、生命の運び手、死神を知る者からはそう言われることが多い神に近い権限を持つ存在を言うにこと書いて木偶の坊と悪態をつく少年は自身の揺らぐ体を押さえながら倒れた状態で後退りする。


『理解しがたい、確かに今までも抵抗するものは多くいた。だがここまで自我が強く死神の鎌から逃げ続ける魂など他に存在を知らぬ』


 だがここまでだ。


「体が...?!」


『魂の限界がきたか』


 目の前の少年の体に見えるものは実際のところ魂が生前の肉体を模しただけの形だけだ。

 この冥界では魂が存在するだけで徐々に浄化が始まってしまう。


 事実目の前の少年の体は揺らめいて今すぐ溶けてしまいそうになっていた。


『ここまでだ、痛みはない』


 死神のふるう鎌が少年の首を切り落とそうと振るわれる。

 少年も今度こそダメだと瞳を閉じて腕で体をかばおうとするが意味はない。

 死神の鎌はその腕ごと少年を切り裂いてしまうだろう。


「ちょっと待て」


 その言葉で死神の鎌はピタリと止まった。


 少年がつぶった目を薄く開けると死神と自分の間に知らない金髪少女が立っていた。

 整った顔立ち瞳は赤く、金髪は花のように結われ背中に広がり、着ている服の裾には金色の刺繍で何かの文字が事細かく描かれている。


 金髪少女が近づく。


「こいつは連れて行くぞ」


 少年を掴んだ後に光に包まれてその場から少年共々いなくなってしまった。


『何故あの方が...?』


 金髪少女の正体を知っているのか死神は頭の中で渦巻く疑問に大きく首を傾げるしかなかった。



読んでくれてありがとう。


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