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取説をくだしあ。すみません、ください。

おはようございます。

昨夜はナーバスになったりしたけれど、私は元気です。

寝る前にちょっと考え過ぎたりネガティブになったりするのなんて普通ですよね。大丈夫大丈夫。

今日は朝から3階に大量にある装備箱の整理をしています。


マキシマスオンラインでは各々のプレイヤーが家を建てることが出来る。

家のサイズに合った木や岩などの障害物がない平地ならば基本的にどこでも建てられる。例外はダンジョンの入り口や町中ぐらい。

街道のど真ん中にだって建てることは出来る。

家の中に設置された箱類は自動的に家の所有者だけが使える金庫のようになるので、その中に入れた物は盗まれたりする心配がなくなる。

私の場合は戦利品をある程度の分類分けをした後に適当にバンバン放り込んでいたので、その中はまさにアメージング。

その中でも武具類はマシな方で、衣類は無秩序に入れられた洗濯籠状態、アクセサリーはネックレスと小さいものが絡まっておまつり状態。

元々のゲームの時もリスト化されるような便利機能はなく、とにかくゴチャゴチャに入れたものを整理するのは腱鞘炎になりそうなぐらいのドラッグアンドドロップだった。

後で苦労するんだから最初から綺麗に入れればいいのにね。後の祭りである。

とりあえず今は腱鞘炎にならないことを喜ぼう。

そういえば昨日の火熾しでプルプルになって、2,3日は重い物が持てないかもと思っていた腕は完全に回復してなんともない。筋肉痛ぐらいは覚悟してたのに。


アクセサリーを文字通りほどきながら考える。

アースゴーレムへの対抗手段。

江戸時代の名刀虎鉄は岩を泥のように切るという。

ここにある武器防具の数々もゲーム内ではアーティファクトと呼ばれるマジックアイテムばかりだ。

その中の刀剣でアースゴーレムも易々と切り伏せられるだろうか。試してみてダメでした!なんて事になるのは避けたい。剣はなしだな。

斧や槍、刺突武器もダメだろう。試すなら確実性が欲しい。

やはりメイスなどの殴打武器になるか。

この細腕で振り回すのはいささか不安が残るが、それは他の武器でも同じだろう。

それを可能にするためにはこのアクセサリー群が役に立つはずだ。

アクセサリーには基本ステータスを底上げするものがいくつもある。

例えば聖騎士の腕輪、過去シリーズで主人公の仲間の1人である聖騎士が使っていたとされる腕輪で、腕力知力にヒットポイントやマナまで上がる一品だ。

今の私にヒットポイントとは何なのか、マナとは、知力が上がるとは一体……と思考の波に溺れそうになるがそれは置いておく。

とりあえず腕力は効果がすぐに実感出来そう。

ただし、問題がある。

このアクセサリー、ゲームのグラフィックでは辛うじて指輪、腕輪、ネックレス、イヤリングが区別されていた程度で、あとの違いは名称と色だけだった。

今、私の目の前にあるものはそれぞれ装飾も形も全く違う初めて見る物ばかりで、ゲームの中の面影などゼロに等しい。

ゲームの中ではマウスカーソルを合わせると自動で性能が書かれたウインドウが表示されたので、色が違うだけで十分だった。

現実にも性能表示をくだしあ!


そういえばスキルの中にも鑑定スキルがある。

武器鑑定、防具鑑定、アイテム鑑定、それと味見。

武器防具鑑定は主に破損度が調べられ、修理の目安がわかる。

アイテム鑑定は使用すると「これは食べ物のようだ。食べられる」といった具合に大まかな分類と用途がわかる。

味見は味がわかる。え?味見ってスキルなの?スキルですそういうゲームです。

どれもほぼ意味がない。でも嫌いじゃない。けして嫌いじゃないぞ。

スキル書を見てもほぼ同じようなことが書かれていた。他のスキル書に比べてやたら薄いからわかってたよ。


さて、アクセサリーの、というよりもマジックアイテムの効果を確かめてみよう。

マジック効果がないなら単なる中二デザインの装備で固めた痛い子になってしまう。

とりあえず、腕輪は4種類しかないので全て付けて試してみる。聖騎士の腕輪、鍛治師の腕輪、錬金術師の腕輪、女神の腕輪の4種だ。

この中でも聖騎士の腕輪と鍛治師の腕輪は腕力が上がる効果がある。

あらかじめ弓の中から一番弦が引けそうなものを用意する。ちなみに他の弓も全て弦が固くて引くことはできなかった。

選んだ弓はエルヴンボウ。弓で緑色のアーティファクトはエルヴンボウしかない。

確か攻撃速度とダメージ増加のボーナスがあったはずだと、武器性能を思い出しながら弓を持ち、矢を弦に添えてぐいっと引く。

簡単に引けてしまった。

そのままテレビで見た弓道やアーチェリーの見よう見まねで標的人形を狙ってみる。

うーん、いまいちどう狙えばいいのかわからない。あとで弓術の取説、じゃなくてスキル書を見ないと。

あてずっぽうで狙って矢を放つ。

「痛ッ」

放した弦が頬をかすめてとっさに声が出た。

痛む頬をそっと触り、見る。血は出てないようだ。

ちょっと間違えたら鼻が取れてたかも。怖い怖い。

無意識に頬をさすりながら矢の行方を探す。

矢は縦に赤いラインが入ってるのですぐに見つかった。標的人形を大きく外れ、途中で床に落ちたのだろうか、人形の後ろの壁と床の継ぎ目に刺さっていた。

撃つ前はラインの意味がよくわからなかったが、回収しやすくするためなのかもしれない。


念のため、腕輪を全て外してまた弓を引いてみる。

やっぱり引けない。たまたま引ける要領がわかったわけではなく、腕力自体が上がっていたようだ。

そしてひとつひとつ付けてみたり、ふたつ付けてみたり、色々と試してみる。

なるほど。

ゲームでは腕輪は装備箇所が1箇所しかなかったので、同時にひとつしか装備できなかった。

そのため同時に付けると全ての効果が出るのかひとつの効果だけなのか、調べる必要があった。

腕輪はシンプルな銀の腕輪、無骨な銅色の腕輪、木製の腕輪、中心に銀のラインが入った白い石の腕輪の4つ。

その中で銀の腕輪と銅の腕輪を付けると弓が引ける。片方だけでは引けそうで引けないので、どちらかが聖騎士の腕輪でどちらかが鍛治師の腕輪で間違いないだろう。

錬金術師の腕輪と女神の腕輪は腕力こそ上がらないが、様々な効果があるので4つセットで付けることにしよう。

腕輪はこれでいいとして、他のアクセサリーはどうしよう。

指輪は20種類以上ある。全て付けるわけにはいかないだろう。私は有閑マダムじゃないんだから。

厳選して指の動きを阻害しない程度にした方がいいだろう。

イヤリングは2個1組なので1種類だけ一番高性能な物を選ぶ。いくつも付けると耳が千切れてしまうよきっと。

ネックレスはゲームの中だと首を守る防具と重複装備できなかったが、今は問題ない。

しかし防具を選ぶ人が多かったのか、そもそもの種類が少なく2種類しかない。これは問題なくふたつとも付けられるだろう。


アクセサリーをフルセット付けてみた。

指輪はとりあえず、両手の人差し指と中指、薬指に2個ずつ計6つ付けてみた。問題なさそうだ。

付けられるだけ付けてみるチャレンジはしてみたけれど、見た目はお中元のハムみたいだし指は曲がらないしポロポロ落ちるしで散々な結果だった。

腕輪は全て左腕に付ける。右利きなので右腕は軽い方がいい。気分的に。

イヤリング、初めて付けてみたけど案外首を振ったりしても大丈夫そう。小さい頃は痛そうだなーと思いながら見ていたがそうでもない。

ステータス的にはモリモリで男爵ぐらいの上級デーモンなら余裕であしらえるはず。実感はない。技量もない。

マキシマスは最終的にプレイヤースキルが物を言うゲームだ。

最低限の性能しかない武具で最強のドラゴンを倒せる者もいれば、最高の装備で亜竜のワイバーンに負ける初心者もいる。

私は後者よりも酷い。剣も振れない弓も引けない。

「ああ酷い、あー酷いなー。」誰に言うでもなく声に出してみた。

声に出すとなんだかスッキリして気が楽になった。

そろそろお昼だ。ご飯を食べよう。

おお!足取りが軽いぞ。早速アクセサリーの効果かな?


るんるん気分で階段を下りていたら、一段踏み外して転んで頭を打った。

でもあんまり痛くなーい。

これたぶん、女神の腕輪のダメージ軽減効果です。

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