その一 そんな装備で大丈夫か!?
こっちはアリシアと比べて
割かし考えながら書いてますが、
文章はとても拙いです。
ご了承くださいませ。
妹想いというか、重いお兄さんのお話。
本当は38歳位で考えて途中まで設定決めていたけど、カップリングというか。
絵面を考えていたら、これじゃいかん!と思った。
多分暫く(っていつだ!)したら文章や、設定、世界観も少し変えたリメイク版も投稿します。
最早そこまで行ったら別の物語か(笑)
意見とか、あれば遠慮なくどうぞ
レスがあると多分更新頻度も高くなる…
アドバイスとかも受け付けてます。
完全な初心者なので宜しくお願いします。
俺は柿谷衛。
今年27歳になる、しがないサラリーマンである。
両親は既に他界していて、今は自堕落な妹と暮らしている。
コレが手のかかるヤツで、洗濯をしてみれば洗濯機が回っている間ゲームをしていて
そのまま忘れて放置だし、台所に立たせれば指は切るわ、皿は割るわ、味噌汁は煮立たせるわで出来上がった料理は食えるもんじゃない。
・・・ホントに、手のかかる妹でこの先や将来のことが心配で仕方がない。
「おつかれー。今日はノー残業デーだからさっさと帰れー。残ってんのは明日早く来てやっとけよー?そら。帰った帰った。」
どうみても頭頂部がカツラであろう部長は基本笑顔な人であまり怒ったところを見たことがない。
新入社員達を鼓舞するために影でフォローしながら褒めて伸ばすをモットーとしているらしい。
自分が転職してきたばかりの頃もこの部長に助けられてばかりだ。
素直に尊敬するし、こういう上司には憧れる。
他の社員の近くを通る度他の社員は口々に親しみを込めて
「おつかれさまでーす」
とおちゃらけながらも笑顔で挨拶をする。
「おつかれさまです」
僕の前を通る部長に挨拶。
「おつかれ。」
笑顔で手をひらひらとしながら他の社員と楽しそうに何かを話してる
そんな様子を見ていると後ろからドカッと
肩を組まれる
「よう、衛! この後、一杯・・・どうだ?」
呑み会には出たいが、家に帰っても家事をやらなければいけないし、妹に任せておけない
「すみません、係長。妹が家で待っていますので・・・」
「また妹かー、そんなこといって・・・コレじゃないの?」
係長が下卑たにやけ顔で急に小声になりながらも小指を立ててくる。
「そんなんじゃないですってば、アイツ台所に立たせでもしたら食材を無駄にするなんてレベルじゃないし、
洗濯物は溜まる一方だし、
明日僕出勤できなくなっちゃいますよ」
すると部長も近づいて来た
「そっかそっか。でもお前の方からも妹離れしてやんなきゃ、妹も自立できんぞ。じゃあまた金曜に誘うわ」
「あはは・・・有難うございます、お疲れ様でした」
一礼して部長が遠ざかるのを見守る。
遠巻きで
『柿谷は今日予定悪いってさ、俺らだけで行こうや』
『アイツ付き合い悪いっすよー』
『まぁ、誰にでも大変な時ってのはあるんだよ』
なんてやり取りを聞きながら
少し遠くで女子社員や部長達を見送る。
駅から15分程歩いた辺りのボロアパートの二階
玄関を開けるとそこが玄関兼キッチン。
正面に部屋が二つ、妹と俺の部屋への扉がある。部屋は隣通しで壁は薄い。
「ただいま」
すかさず返事が返ってくる。
「お帰り」
帰るなりそのまま冷蔵庫を確認。
中にあったのはピーマンと鶏肉、玉子、それに万能ネギと筍、キャベツ。
「今日は餡掛けの何かだな。」
居間の扉を開くと、
テレビゲームをしながら炬燵にもぐっている通常営業の妹を見て声をかける。
「今日、どうだった?」
最近はほぼ毎日と言っていいほど同じ言葉をかける。
それに返ってくるのもいつも同じだ
「ダメだった。」
妹は現在アルバイトをしながら就職活動中だ。
「そっか、次、頑張れよ。」
特に強くは言わない、反発されても困るし
力なく
「うん」と呟き視線を落とす妹を確認し、
台所へ戻る。
出来上がったのは細切り筍とピーマン、と細切りの鶏肉にポン酢と醤油で味付けした餡掛けをメインディッシュ。
サイドに卵焼きと味噌汁とご飯が付く。
いつもならささっと食べ終えて自分の部屋に籠るのに今日は妹の箸のペースが重い。
自然と妹の箸が止まり、箸を置くと目線はピーマンにあった。
「どうした?ピーマン苦手でもちゃんと食べなきゃだぞ?」
「うん・・・ ・・・」
どうやらピーマンで食が進まなかった訳ではないようだ。
「あのね・・・お兄ちゃん。 私、結婚することにしたの・・・」
妹の色恋沙汰なんて聞いたことなかった、
だから
「あはは、何ていうドラマ?」
なんて返しをしてしまった。
「・・・」
うつむき、口を閉ざす妹の真剣身に驚きながらも
「本当・・・なのか。」
「うん・・・」
なんと返せばいいのかわからない、
相手はどんな奴だろう?俺の知っている奴なのか、
それとも割と頻繁に行くオフ会の奴なのか、
妹は家事もなんも出来ないけど、大丈夫なのか。
「そ・・・それはよかったじゃないか!」
沈黙を破ってフッとでた言葉はこれだった。
「ぇ?」
別の返答を予想していたのか妹は粋をとめる。しかし、俺の口は止まらなかった。
「嫁の貰い手が見つかったってことだろ?兄としてもこれで一安心だよ!」
とにかくパニクっていたんだ、
もう少し考える時間があれば違う返答をしたかもしれない。
「・・・それだけ?」
「それだけ?じゃないぞ! まさか我が妹に結婚相手が見つかるなんてなぁ~。」
「俺も挨拶とかちゃんとしなきゃな・・・おっとスピーチも考えにゃ!」
「う、うん・・・そうだよね・・・」
一人で空回りする自分に距離を置きつつ
「・・・おにいちゃん、ありがとう」
妹が発した言葉は礼の言葉だった。
「おう!」
文面だけでみれば特に変哲のないやり取り。
だけどお互いに心は正面を向いていなかった。
その夜、
なんとも言えない違和感というか、
なにかひっかかるような気がしてなかなか寝付けなかった。
両親が飛行機事故に遭ったのは俺がまだ17歳だった頃。
旅客機による事故で両親を失った代わりに、保険金として3億を越える金額が代わりに俺と妹に相続された。
しかし、未成年でそんな額を扱うのは危ない、危険だと葬式でさえも親戚が群がってきた。
「衛君、お父さんお母さんいなくなって可哀想な子。妹さんもお若いのに…うちで養うから、おいでなさい」等と色々言われていた
中には顔も見たこともないような親戚までうちの子になるべきだと言い出す始末。
当然皆、俺や妹を見ていたわけではなく、死んだ両親の残した保険金しか見ていなかった。
既に数人の親戚はその保険金を何に使うかまで考えている者までいた。
そんな中で唯一「俺の孫だ。着いてこい。」
なんて強引に自分の庇護下に入れたのは父方の祖父だった。
祖父は成人するまで金は預かっておく。
だが成人するまで毎月10万、ここから生活費として貰うからな。
とだけ言って成人式のときに渡された通帳の金額は1円たりとも保険金が減っていない状態で寧ろ、金利分増えていた。
そんな祖父の元を成人し離れた俺は、妹と二人で暮らす様になった。
その後は特に今と変わらず来ていた。
これまでの事を思い出しながらも、妹の最近の変化と共に考えていると、普段聞こえない音が聞こえた。
このボロアパートは壁が薄い。
時刻は4:23分、普段なら起きていた試しがない時間。
妹は息を殺すように泣いていた。
時折紙をクシャクシャにする音が聞こえた。
妹は何かを隠している。
そして、結婚は嘘だ。そう思い始めた。
結局朝まで寝ることは出来ず終いだった。
妹も泣きつかれて眠ったのか、
途中から泣き声は聞こえなくなった。
歯磨きをしながらも、声をかける勇気のなかった自分に嫌悪感を抱きながらネクタイだけ整える。
相変わらず音もしない妹の部屋のドアを見つめ、色んな意味を込めて言葉を放つ。
「……いってきます。」
電車に揺られ昨晩の事を思い出す。
何を言いたかったのか、何を伝えたかったのか
ぐるぐる巡る考えに、頭がついていかない。
欠伸をしていると、電車が一際強く揺れた。
いや、揺れたのではない。
宙に浮いているのだ。
「え? 浮い…」
見れば他の乗客の姿は見えない。
様々な考えが頭の中を覆い尽くす。
そして全身に広がる衝撃と視界の暗転に身を委ねるしかなかった。
頬が冷たい。
全身が痛い。
なんだ?お腹が濡れてる?
しまった。スーツはこれ1着しか無いのに。
重い身体を動かし、仰向けになる。
太陽だ。
鳥のさえずり、木々が風に撫でられ揺れる葉の音。
「ここは?」
電車の中のはず…
ダメだ、思い出せない。
「確か電車が揺れて、いや、倒れたのか?」
それにしてもここは?
周りの様子を見るに森の中なのは間違いない。
そして自分が乗っている石は上だけは平べったく明らかに人の手が入っている。
違和感しか覚えないこの石がなんだか不気味に思えた。
「まずは現状確認…だな。」
考えれば考えるほどこのままではいられない。
会社に何て言えばいいのだろう。
「会社に電車のってたら森に来てました、なんて言えないしな。」
ケータイで会社に電話をかけながら…
『プー…プー…』
お約束の圏外である。
「まず森は抜けなきゃだし、人に会えればなんとかなる、きっとそうだ」
自分で自分に言い聞かせ、森を抜け出すことにした。
服装はスーツ、
ビジネスバッグには財布と折り畳み傘、
ノートと筆箱、ホカリスウェットの入った水筒、プリスクのみ。
見知らぬ土地、
こんな装備で大丈夫か?
基本一人称で書いているのがこっち。
でも視点はよく変わります。
それは私の悪い癖。