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もうひとつの昔話(パロディ)

靴屋と小人 (もうひとつの昔話26)

作者: keikato
掲載日:2018/10/10

 ある町に一軒の靴屋がありました。

 この靴屋の主人はまじめで働き者でしたが、食べていくのがやっとという貧乏な生活をしておりました。


 ある夜のことです。

「もう店を閉めるしかないな」

 靴屋が沈んだ顔でうなだれていますと、そこへ小人があらわれてこう言いました。

「だいじょうぶ、これからも店は続けられますよ」

「わたしらが靴を作ってさしあげましょう」

 小人は仕事台の上に二人いました。

「おまえたちの気持ちはうれしいが、もう靴の材料となる皮がないんだよ」

 靴屋は力なく首を振ってみせました。

「心配しないでください。わたしらが住む森から持ってきた靴が二足ありますので」

「それに帽子もあります」

 小人がそう言って大きな箱を取り出します。

「そいつはありがたい」

 靴屋はさっそく箱を開けました。

 ですが、中には靴も帽子も入っていません。

「なにも入ってないようだが……」

「よくごらんください」

「たしかに入っています」

 靴屋がもう一度のぞきこみますと、箱の底に小さなセミが一匹おりました。

「これはツクツクボウシじゃないか」

「いいえ、クツクツボウシです」

「クツが二足と帽子が一つです」

 小人たちはうれしそうに言うと、仕事台の上ではねまわりました。

 かたや、靴屋は憮然としています。

「気に入ってもらえなかったみたいだな」

「そのようだ」

 小人は何やら相談をしていましたが、今度はいきなりパンツをぬぐと、お尻を靴屋に向けておどり始めました。

「いったい何のまねだね?」

 靴屋がおどろいて首をひねります。

「クツ、クツですよ」

「これこそがわたしらのクツです」

 小人たちはいっそうお尻を振ってみせました。

「それはケツだろ!」

 靴屋もさすがにあきれてしまいました。

「すみません。笑って元気になってもらおうと、ついやってしまったことなのです」

「そう、今までのはみんな冗談です」

「いや、ありがたいことだ。おかげでワシも、少し元気が出た気がするよ」

 靴屋はやさしく笑ってみせ、それからすぐに顔を曇らせました。

「でもな、ワシは材料の皮を買うどころか、あした食べるパンもないんだ」

「パンもないでっすって?」

「それはあんまりです」

 小人たちは再びこそこそと相談を始め、

「パンであればさし上げられます」

「とりあえず明日の朝、わたしらがそれぞれパンを一つずつここに置いておきます」

 そう言い残して靴屋の前から姿を消しました。


 翌日の朝。

「あいつら……」

 靴屋は深いため息をつきました。

 仕事台の上にはパンツと手紙があり、手紙にはこう書かれてあったのです。

『パンが二つでパンツ―』

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― 新着の感想 ―
[良い点] 拝読しました。 おどける小人たちの様子が笑いを誘いますね。ダジャレも絶好調です。 ただ下のコメントにパンツを売ればパンを買える、とあり、なるほどと手を打ってしまいました。感心です。 …
[良い点] くすっと笑える最後が良かったです。 『パンが二つでパンツ―』と書いてある手紙なんて、貰った方はイラッときたでしょうね。
[良い点] 困っている時にダジャレを披露しに来る小人、嬉しいんだか迷惑なんだか、分かりませんね。 でも、何も出てこないよりは、よっぽど良いでしょうね。
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