表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/122

痴漢?三木博文④

「いったい、どういうつもり?」


 森村直美の表情はさっきより、更に怒った顔になっていて、言葉もその表情に負けないくらいの剣幕だった。


 だけど僕には、そのように怒られる意味が分からない。


「どういうつもりって?」


 と、平然とした態度で逆に聞き返す。


「さっきのHRの時のことよ!」


 僕が聞いたのは、彼女を憤慨させてしまった行動。


 なのに森村直美は時間軸で答えを返す。


 一時の感情に流されて、論理的に説明できないのでは、僕にはなんの事で怒っているのか理解できる訳がない。


 まあ喧嘩など、感情が高ぶった場合には良くある話。


 平然として相手の答えを待つ僕を、森村直美は睨みつけながら、やっとまともに話しはじめた。


「あんたHRの時。いや、私達がお昼休みから帰ってきたときから穂香の胸をエッチな目で見ていたでしょ」


「あっ!」


 身体中の汗腺からドッと冷たい汗が噴き出した。確かに本田の言った言葉が気になって、何の気なしにそっちの方に目がいってしまったが、その事を他人から見透かされているとは思ってもいなかった。


”エッチな目”


 それは抽象的な表現だけど、妙に僕の心に的確にしかも深く突き刺さるナイフのよう。


 その時の僕は、どんな表情をして秋月穂香を見ていたのだろう。


”痴漢、三木博文!”


 そんな新聞の見出しや、ネットの中傷記事が頭の中を駆け巡り、周りの生徒からも嫌な目で見られている自分の姿が浮かび、生徒たちは口々に


『やだ!痴漢の三木がいる!』


『注意しないと、見られるわよ!』


と言っている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ