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揺れるポニーテール⑭

 しかし何故森村直美は、野村に家まで送って貰わなかったのか?


 何故バス停?


 二十分くらい前に着いていたはず。


 何故先に返っていない?


 僕を待っていた?


 何か用事があった?


 途中で喧嘩でもした?


 それとも……。


 野村の家は、このバス通りをまだ先に一キロくらい進んだ川の向こう側だからアイツが直進を優先するのであれば、このバス停が分岐点となる。


 しかし図々しい野村の事だから、絶対に森村直美に家まで送って行くと言うはずだ。


 それが何故……。


 そして、お喋りでお節介な森村直美が、さっきから僕の横で一言も話さないのが不気味だった。


”何故いつもの様に話かけてこない?”          


 それはまるで無言の尋問を受けているようだった。


 何か話をして、この状況から逃げ出したかったが何を話せばいいのか思いつかないまま家の前まで来てしまう。


 いつもなら僕をからかう様に顔を覗き込むはずの彼女が、ただ僕の方に振り向いただけで「じゃあね!」と言うと自分の家の方に去っていく。


 僕の口は、焦るばかりで何も行動に移せない僕自身などお構いなしに「あの曲、良い曲だね!」と勝手に喋っていた。


 いつもの彼女なら引き返して来て、その事はおろか余計なことまで長話してウンザリするところだったが、今日は振り向いて片手を少し振るだけで直ぐに向き直り自分の家のほうに去って行った。


”何だよ、アイツ。僕を待っていたのならなんか話しくらいしろ”


 僕は暫くその後ろ姿を睨んでいた。

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