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痴漢?三木博文②

 昼食時間を告げるチャイムが鳴ると、僕は席を後ろ向きにする。


 もちろん二年生の時と同じに、俊介と一緒に食べるためだ。


 しかし三年生の今、後ろを向くと直ぐ右斜め前に森村直美が視界に入る。


 それが嫌で、後ろを向く時はワザワザ視界に入りにくいように左回りに向きを変えるし、なるべく顔を上げないようにしている。


 いつものように左回りで向きを変え、森村直美に気付かれないように恐る恐る目を上げてみると、何故か森村直美はおろか秋月穂香さんも教室には居なかった。


 購買に買い物にでも行ったのかと思っていたけれど、なかなか戻ってくる様子もない。


 久し振りに学生食堂に行っているのかと思ったけれど、あとで進藤が遊びに来た時に話していたが、どうやら森村直美は秋月穂香、山岡沙希、鈴木麻衣子たち元二年A組仲良し四人組で中庭の木陰で花見をしながら一緒にお弁当を広げているという事だった。


 進藤は少し話をした後すぐに自分の教室に戻って行ったが、それにしても今日は天気が良い。


 こんな天気のいい日に外でお弁当を食べると、さぞ気持ちが良いだろうなと女子達が羨ましく思え、一体女子達がどんな話をしているのだろうと考えた。


 秋月穂香や山岡沙紀は俊介や進藤の話をしているのだろうか?


 それに対して鈴木麻衣子は理想の彼氏像を語ったりするのだろうか?


 そして、あの生意気な森村直美は、屹度僕の悪口を楽しそうに喋っているのに違いない。


 そう思うと、彼女たちが食事をしている所にある木に登り、思いっきり木を揺らして毛虫の雨を降らせてやりたい気分になる。


 でも現実の僕は絶対にそういう悪戯はしない。


 それは僕が常識を弁えた紳士だからではなくて、誰かの力を借りて木に登れたとしても、揺らそうとした瞬間に落ちてしまうのが毛虫ではなく僕自身だということが分かっているからだ。

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