表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/122

罠㉕

 M学園の二人、柴田瑠香と円藤美咲が帰った後、僕たちは山岡沙希の足の調子を心配して聞いた。


 すると彼女は笑いながらフェイクだと答え「チャンと動けるのか、動けないのか分からないと、相手も混乱するでしょ。勿論味方にはチャンと伝えたけどね」


 と悪戯っぽく付け加えて笑う。


”罠を掛けたのは山岡沙希の方だったんだ!”


 僕がそう思って驚いているところに、本田がその他のプレーに関して交代して色々聞いていた。例えば、何故最後の得点の時に三ポイントシュートを打たずにファールを狙ったのか?とか。


 矢継ぎ早に色々な事を聞く本田は、まるでテレビのルポライターみたい。


 その質問攻めに、山岡沙希は困って鈴木麻衣子に助けを乞うように笑う。


 すると鈴木麻衣子がすかさず


「はい!報道の方は退席して下さい。山岡選手治療の続きに入りまーす」


 と、僕たちと山岡沙希の間に割って入って来たので、一旦体育館を出た。


 昼休憩が近かったが、隣にいた本田に一局打つか聞いたが、本田は僕の声が耳に入らなかったのか「やっぱり、何か持っている」と呟いていた。


 僕が何の事かと聞くと


「穂香さんだよ」と答えた。


 確かに。


 幾ら憎いといっても他校の素性も知れない、しかも自分より大きな生徒に平手打ちなんて凄いとしか言いようがない。


 そう考えた時、最後に相手チームの円藤美咲と、あの柴田瑠香が良い感じで帰っていた事を思い出し、もしも秋月穂香の平手打ちがなかったら、あのような展開になったのだろうか?


 そして秋月穂香には、相手の魂に呼びかける不思議な力が有るのではないかとさえ思った。


 昼食を挟んでまた将棋を差し、山岡沙希たちの午後の試合を観戦したが、さすがに第二シードを破った勢いがあり、あっけなく大差で勝った。


 もちろん山岡沙希は大事をとって休み休みの出場だったけど足の状態は良いようで、ここでも秋月穂香の初期治療の的確さが際立つ。

 

 そう思うと、何となく今日という日が山岡沙希と秋月穂香の二人を中心に動いていた一日と言う感じで、何故か”この一日”に参加していない森村直美に少し苛立しさを感じてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ