痴漢?三木博文①
森村直美に引かれて入った新しい教室の黒板には、クラス担任の名前と座席表が記されてあった。
担任の先生は二年生の時と同じ寺岡先生で僕の席は廊下側の前から三番目、後ろの席に俊介がいた。
背の低い僕と背の高い俊介との前後コンビは二年生の時と同じで、屹度友達の少ない人見知りな僕たちの性格を考えて先生が席順を決めてくれたのだと有り難く思う。
俊介の隣の席には可憐な秋月穂香さんがいて、その後ろに森村直美が偉そうに座っている。
体育館での離任・新任式が済むと一旦教室に戻り身体計測が始まった。
俊介は去年より二センチ伸びて一七三センチになり、僕も少しは身長伸びてないかと期待したが去年と同じ百六十センチでガッカリしていると、進藤と本田がやって来て進藤は一七〇センチに二センチ届かなかったと悔しがる一方で、本田は一七〇センチに届いたと喜んでいた。
僕たちが憧れるのはイケメンで背の高い”モテ男”
イケメンの部分で、持って生まれた顔はどうしようもないけれど、背丈だけは努力により伸びるのではないかと淡い期待を抱いている。
しばらくお互いの身長や体重の話をしていたが、直ぐに本田が女子の話を始めた。
”○○さんは胸が大きい”とかのHな話。
進藤と二人で盛り上がっていたところで、少し俊介がその場から離れた隙をついて本田と進藤が穂香さんのバストは何センチなんだろうとコソコソ話し始めた。
どうやら未だに二人とも秋月穂香に少なからず未練があるらしい。
確かに秋月穂香は学年、いや学校一。
ひょっとしたら、この街一番の美少女なのかもしれない。
テレビに出てもなんの遜色もないだろうし、場合によっては共演者よりも目立つかも知れないとさえ、あまり女性に興味のない僕でさえ思ってしまう。
そして、その美貌の他にも特徴的なのはスラリと伸びた長い脚と華奢な体形だけど、二年生の時から胸も出てきて男子にとっては気になるところだ。
でも、さすがにこういった話は、俊介の前では言えない。