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罠⑯

 そして最後となる第四クォーターのホイッスルが鳴る。


 ここで、どちらかが勝ち、どちらかが負ける。


 同点の場合は延長戦に入るが、山岡沙希の足の状態からいって、延長戦に入る事は避けたい。


 チームは第三クォーターの時より奮起して粘り、一身一体の攻防が続く。


 我がS高女子バスケットボール部も県内では強いほうには入るが、シード権を得られるほどではなかった。


 そして、エースの山岡沙希の抜けたそのチームは第二シード相手に大健闘していた。


 みんな必死で頑張っていて、当然それなりのリスクもあり焦ってファールを取られる場面も多くなっていた。


 試合が大きく動いたのは五つの目のファールで相手にフリースローを与えてしまった後からだった。


 このフリースローで逆転された途端に、それまでの緊張の糸が切れたかのように点差が一気に七点差まで開いた。


 コートのメンバーには、明らかに疲れが見え始め集中力も切れかけていた。


「あと二分」


 腕時計を見て秋月穂香が言うと、鈴木麻衣子が


「沙希~!あと二分よ~!」


 と、大声でベンチの山岡沙希に伝えた。


 その声にコートでプレーしているメンバーが一斉に時計を見る。


 しかし、伝えられたほうの山岡沙希は、聞えたのか聞えなかったのか手に持った氷嚢を患部に当てたままコートから目を離さないでいた。


 4番をつけたキャプテンがメンバーに「締まっていこう!」と声を掛けるとコートのメンバーだけで無くベンチのメンバーも大きな声で「ハイッ!」と返事を返す。


 プレーに集中力と鋭さが戻ってきた。点差を引き離される事は無く反撃していたがそれでも一点を返すのが精一杯だった。


 そして二分が経ち、選手交代を告げるホイッスルが鳴る。


 我が校の応援席から、悲鳴にも似た大きな歓声が沸き起こる中、クールな山岡沙希が交代のメンバーとハグしてコートに入った。

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