表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/122

罠⑭

 ホイッスルが鳴り、試合が中断する。


 山岡沙希が怪我をしたので、代わりの選手と交代する。


 僕は相手の10番の後ろ姿を睨みつけていた。


 怪我をした山岡沙希と同様に、こちらも交代させられてベンチに下がる。


「行こう!」


 俊介の言葉で僕たちは観客席を離れて一階に降りた。


 俊介が凄い勢いで走るので着いていけなかったが、どこに行こうとしているのかは分かる。


 体育館入り口に到着すると、山岡沙希が秋月穂香に治療を受けているところだった。


 進藤が心配そうに見ている。


 秋月穂香は山岡沙希の膝や足首などを色々な角度に曲げさせて、そのつど痛いかどうか聞いていてまるでお医者さんみたいだ。


 そしてリュックサックから幅広のテーピングテープを取り出すと、慣れた手つきでテーピングを始め、それが終わるとクーラーボックスから氷嚢を取り出し幹部に当てて、最低でも十分間冷やすように言っていた。


 マネージャーは素直に聞いていたが、山岡沙希の方はそれでは試合が粗終わってしまうので五分冷やしてから試合に出てはいけないのか聞き返していた。


 秋月穂香は表情を変えないまま、厳しくそれに返した。


「駄目よ!今患部を確り冷やして、少しでも炎症を抑えないと、直ぐに痛みで動けなくなるわ。そして今度は沙希がファールを犯してチームの足を引っ張る結果になるのよ。いまはチームを信じるの。いいよね」


「うん、分かった。私、信じる」


 二人の会話は、僕が思っていた二人の上下関係とは全く逆で、可愛い秋月穂香がお姉さんで、クールな山岡沙希が妹みたいな会話だった。


 余計な事を考えたついでに、あの事を思い出したので言わなければと思い、外で盗み聞きした相手の7番と10番の会話を話して注意を促した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ