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罠⑧

 次の日も、僕たちは体育館脇の木陰で練習した。


 この日は、山岡沙希の試合が二試合目だったので一局だけ打って直ぐに移動した。


 僕たち棋道部も、女子たちも昨日と同じメンバーで、森村直美は今日も来ていない。


 体育館のほうに入ると、まだ前の試合をしていて、暇なうちにトイレに行く。


 今日のこの会場は全部女子の試合だったので、男子用は空いていると思っていたら運悪く清掃中の掲示がしてあり、仕方が無いので少し離れた体育館外のトイレに向かった。


 さすがに外のトイレは空いているというか、誰も居なかくて良かったが、少し臭い。


 用を済ませたあと、誰も居ないと思っていた所で人の気配を感じて不審に思い、あまり人通りの無い通路の端で隠れる。


 これじゃあどっちが不審者だか分からないと思い、咄嗟に隠れてしまったことを後悔する。


 隠れるという行為に及ぶと、どうやら普段より好奇心が湧いて来るものらしい。


 人の気配がする方向を、こっそり探してみると、そこにはユニフォームを着た選手が二人居。


 どこの生徒だろうと思っていると、その二人が話をしているのが聞えてきた。


 僕の方に背を向けているの背番号7をつけた選手が、大柄な背番号10番の選手に何か説明している。


 ところが7番の選手の声は、誰かに聞かれてはマズイのか押し殺した微かな声なので、僕の位置からは何を話しているのか内容は聞えない。


 聞こえないまでも、話の内容が良い話なのか悪い話なのかは察しが付く。


 この場合は悪い話だ。


 そう思うと、もっと近くで話の内容を聞いてみたいという興味が湧く。


 しかし、隠れた場所が悪かった。


 ここから少しでも動くと相手に見つかり、僕は女子トイレを覗く変質者と間違えられて明日の新聞の見出しに載ってしまうだろう。


 その恐怖におびえながら、身動きできずにいた。


 話を聞いている10番の選手は下級生なのだろう、礼儀正しくキビキビした声で7番の話す言葉に対して「ハイ!」と返事を返していた。


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