罠⑦
試合中にも応援に駆けつけた我が高の女子生徒たちが「沙希さ~ん!」と黄色い声で応援していたが、周りを良く見ると他の高校らしい女子のグループもいた。
凄い人気だと思い、本田に他校にもファンが居るのかと聞くと、その一団は明日の対戦相手で第二シードのM学園が偵察に来ているのだと教えてくれた。
それでよく見るとナルホド、応援にしてはノートを取っている生徒も居るし、やけに目が真剣だ。
試合のほうは、応援というよりも”お祭り”と言った感じで我が校の圧勝。
勿論エースの山岡沙紀は活き活きとしていて他の部員よりも断然目立って最後まで格好良かった。
試合が終わったとき、さっきの偵察していた女子たちを確認してみたが既に帰ってしまったようだ。
体育館からの帰り道、俊介と秋月穂香が大きなウォーターサーバーとクーラーボックスを持っているのに気がつく。
そういえば彼女がコップを用意してくれていて、対局の最中にも容器に入っているスポーツドリンクが少なくなる度に頻繁に継ぎ足ししてくれていたのだろう、飲んでも、飲んでもコップのドリンクが減らなくて不思議に思っていた。




