罠①
僕が本田と一局差しているところに俊介と榎田さんが来て、次の土曜日に全国大会出場メンバーを中心に強化試合をしようという趣旨を伝えてきた。
予選会が終わった直ぐ後の緩んだ気持ちを引き締めるうえで良い事だと思い、僕は直ぐに賛成の言葉を返しす。
しかし、本田のほうは俊介の顔を覗き込み、なにかあったのか聞き返した。
何で本田がそんなことを聞くのかと思い、僕も改めて俊介の顔を見てみると、たしかにいつもの顔と違い少し困ったような顔をしている。
話を聞いてみると、やはり予選会の後の緩んだ気持ちを引き締めるために計画したもので、それを部長の進藤に相談したところ初めはさんせいしていたものの、次の土曜日という日にちを出した途端、困った顔をされたのだという。
「じゃあ日曜日か、その次の土曜日にすれば良いじゃないか」
僕は、何でそんなことで悩むのか分からないまま言うと俊介が、次の土曜日からバスケットボール部の試合があるのだと言った。
なんでバスケの試合と僕たちの練習が関係するのか意味が分からない。
だいいちこれからの時期、各部活は最後の全国大会に向けての地区予選で忙しくなる時期なので、バスケ部に限らず卓球、バレー、テニスに野球等々、いちいち他所の部活を気にしていたら何も出来ないじゃないか。
ありのままの意見を言う僕に本田が「おまえ本当に、鈍いな~」と言う。
何の事か分からないでポカンとした顔で本田のほうを向くと
「次の土曜日は、山岡沙希のバスケ部の試合だろ」
「?」




