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思わぬ応援団⑥

 おにぎりを片手に好物の西京焼きと出汁巻き卵、タクワン、キンピラの順に手を出していると進藤と本田から


「お前相変わらず渋いなぁ」


 と言われて周りを見ると、みんなはソーセージや唐揚げなど洋食の方に手を伸ばしていて僕の食べている三番目の重は、殆ど僕専用になっていた。


「それにしても、この三番目のお重ってチョッと指向が違うよね」


 本田が言うと、俊介が”誰かさん専用に、誰かさんが拵えたみたいだね”と言った。


”誰かさん専用に、誰かさんが”


 俊介の言った言葉が引っかかる。


 そう言えば一週間前の休日に、森村直美が何かの用で僕の家を訪ねてきて母さんと話していたのを思い出した。


”ひょっとして、あの時僕の好物を聞いて……”


 しかし、たとえそうだとしてもあの森村直美がこれ程の美味しい料理を造れるとも思えない。


 屹度彼女がレシピを聞いてきて、造ったのは他の人だろう。


 料理の上手そうな、秋月穂香か鈴木麻衣子くらい。山岡沙希は失礼だけど、こんなに繊細な味は出せないだろうと勝手に決めつけていた。


 四つの重箱を、それぞれの箸がつつく。


 男女七人。その中にカップルは二組。


 箸の動きを追っているだけでも、何となくその違いが分かる。


 僕や本田、鈴木麻衣子の箸は、自由気ままに動いているけれど、俊介たちの箸は少し違う。


 遠慮というか、思いやりと言うのか、気配りするように丁寧に動いていて決して焦らない。


 特に付き合っている俊介と穂香さんや、進藤と沙希さんが僕たちの前でそのようなオーラを出すことは無いが、それでも食べながら隙を見て気にして見ると、やはり二人だけの信頼関係みたいなものが箸ひとつ運ぶ仕草にも表れている。


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