思わぬ応援団③
「しかし、なんで応援に来たんだ?将棋の試合なんて応援する場面もなければ、対局だって傍で見られるわけでもないから退屈なだけだろ」
本田が言った言葉に僕もその通りだと思った。
「でも、応援して欲しいだろ」
本来なら森村直美が言いそうなことを代役で山岡沙希が言った。
「えっ?何で知っているの?」
本田が不思議に思って聞くと、傍らで俊介が『すまん!』と、言うように手を合わせていた。
なるほど、この前部室で本田と僕が話していた内容を聞いていた俊介が、その事を秋月穂香に話して女子たちに広まった訳か。
「まあ、いいじゃないか。吹奏楽部の応援は叶わなかったけど、最後の大会を一応応援団付きと言う夢が叶って」
進藤が本田の肩を”ポン!”と叩いく。
”あれ?進藤も知ってやがる”
でも、よく考えてみると、応援団と言うには何か物足らない。
秋月穂香と山岡沙希の二人は、俊介と進藤と付き合っているのだから、これはどう考えても単に恋人として応援に来たと解釈するのが正しく純粋に応援と言うのであれば鈴木麻衣子のみが、それに該当する。
その鈴木麻衣子にしても結局はGW最後の二日間、暇をもてあまし仲の良い二人に着いて来た。
と言うのが一番当てはまるのではないだろうか。
それにしても、いつも四人で行動している女子たちが今日は三人であることが僕には奇妙で、違和感を感じた。




