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オーボエの調べ⑩

「信じて引き受けたから最後まで友達を信じるの?」


 また変な言い方をしてきたので更にムキになって


「当たり前だろ!」


 と、キッパリ言ってやる。


 すると森村直美は僕の顔を覗き込むように


「じゃぁ、何故君は部室に直行せずに、ここで屯しているのかな?」


「そ・それは……」


 悔しいが日頃から喋る事に長けている森村直美にいつの間にか、今一番痛いところを衝かれた。


 しかし彼女は、僕が答えられずにいるのを気にもしないで


「じゃぁね!わたし練習の続きがあるから」


 と言ってさっさと譜面台に覆われているサークルの中へ戻って行ってしまう。


 せめて何か答えを見つけるまで問い詰めてくれたほうがどれだけ気持ちがスッキリしただろう。


 おそらくそれでも答えは見つからないだろうけど。


 森村直美と別れて部室に向かうために数歩歩いたところで、さっきまでの会話の中で自分自身一番ムキになって言った言葉”当たり前だろ!”の一言が頭の中で響いた。


 それは友達を信じること。


 背中越しに聞える、森村直美の奏でるオーボエの高く澄み切った切れのあるメロディーが他の楽器の音より一際高らかに聞え僕の背中を押しているように感じた。


 その瞬間、いままでグズグズと考えていたことが消えて行き、変わりに早く部室に行って皆に合いたい気持ちがワクワクと涌いてきて、今迄潰していた時間を取り返すように走って部室へ向かっていた。


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