掲示板②
それでも新しいクラスで一人ぼっちで居るのではなく阿久津俊介と同じクラスだったのは良かった。
掲示板の前を離れ三年A組の教室に向かうため体の向きを変えるとB組の前の廊下で進藤公一が山岡沙希と話しているのが見えたので話をすると進藤はB組、山岡沙希はE組だと言っていた。
二年生の夏休み前に同じ棋道部の俊介を秋月穂香とカップルにするために水族館に行った事があったが、夏休みが終わってみるとその二人のほかに進藤と山岡沙希も何故かカップルになっていた事には驚かされた。
だけど、それが三年では離れ離れなんだなと思うと他人事だけど少し寂しい気持ちがした。
「いいなぁ三木は穂香さんと一緒で!」
不意に後ろから声を掛けられて振り向くと本田がC組の扉からこっちに向かって歩いて来るのが見えた。
「本田はC組か」
「そうなんだよ、折角一、二年と、穂香さんと同じクラスだったのに、最後は別々とは悲しい限りだね」
残念そうに言う本田に対して進藤が驚いて
「穂香さんは俊介とカップルなのに未だ諦めていなかったのか!?」
と言うと
「俺は、お前と違って永遠に夢を追うために産まれてきた人間なのさ!」
と大袈裟なジェスチャーをして笑わせていた。
掲示板の前には相変わらず大勢の生徒たちが群がっていたが、その一団を気にも留めないで阿久津俊介が真っ直ぐにこっちを目指してやって来た。
「おはよぅ……」
相変わらず気の抜けたような挨拶だった。