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オーボエの調べ④

 森村直美は未だ気がついていないようだったので、コッソリ学校に引き返そうかと一瞬躊躇っていると


「棋道部も早く終わったのね」


 と先方から声を掛けられてしまい、密かに学校に引き返す選択肢は潰えた。


 下手に忘れ物をしたとかの嘘を言っても彼女には何故か直ぐに見破られてしまい、そうなれば更に最悪だ。


「吹奏楽部も早かったんだね」


 開き直って、ごくありきたりの返事を返す。


「うん、やることと曲が直ぐ決まったからね」


 そう言うと森村直美は急に僕の顔を覗き込むように体を傾けたが、それが僕の顔を見るためなのかバスが来る方向を見たかったのか分からなかった。


 僕は何故か彼女に顔を見られるのが嫌で、彼女と同じ方向に顔を反らせた。


「バスなら今行ったばかりだから、直ぐには来ないよ」


 今の言葉で、彼女が体を傾けた理由がやはり僕の顔を覗き込もうとしていたのだと確信した。


 僕は、それなら意地でも見せてやるものか!と思って顔の向きも変えない。


 僕の後ろで森村直美が何を思ってどんな顔をしているのか分からなかったがズットそうしていた。


 するとバスが来るまでの間、彼女にしては珍しく一言も話しかけてこなかった。

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