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オーボエの調べ③
部活が終わり、皆と別れて一人とぼとぼとバス停に向かった。
離れた場所からバス停に居る人数を確認すると、いつもは大勢の生徒が並ぶ停留所には女子が一人いるだけだった。
今日は五時限で終わったし、各部活動共に新学期初日の議題は新入生向けの部活紹介をどう進めていくか。
なので、その進捗状況で早く終わる部活もあれば遅くまでかかる部活もあり、終了時間はマチマチになる。
それにしても自分で二人目とは新学期早々ラッキーだ、確実に座れる。
今日は新しい教室に無様な格好で第一歩を踏み入れ、
身体計測後に森村直美に叱られ、
部活では信じていた仲間に裏切られて散々な思いをさせられた。
だけど、こうした日にも一つくらいは良いことが有るものなんだなと気を取り直してバス停に近づく。
ところが迂闊に近づいてみると、その一人だけバスを待っていた女子が今日の嫌なこと三つの中で二つに係わっていた森村直美だった。
”天中殺!”
頭の中で、その言葉が浮かんだ。




