表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/122

真夏のサウンドオフ⑰

 マウンドに上がった野村は今日も調子が良くて、その裏の相手の攻撃を三者凡退に取った。


 僕たちはスタンド後列の日陰のある所で応援していたが、それでも湿度が高く汗が止まらないほど出てくる。


 吹奏楽部は今迄のスタンド後列の日陰になる所から前列の日の当たる場所に移動していたので余計暑いだろうなと心配だった。


 中でも木管楽器は熱に弱いらしく担当者は大変だと言っていて、特に森村直美のオーボエはその木管楽器の中でも大型のものに属し神経を使うらしく、いつものようにイニングごとに休憩を取りに来なくて秋月穂香を心配させていた。


 試合のほうは、稀に見る投手戦となり七回を終えたところまでお互いに得点を許さずスコアボードにはゼロが並んでいて、特に野村のほうはここまで相手の強力打線をノーヒットに抑える完璧なピッチングだった。


 八回表の我が高の攻撃は一死から一番の尾形が内野安打で出塁し、送りバントで二死二塁と一回表以来久し振りに得点圏に走者を進め、続く三番打者が四球でチャンスを四番の野村に託す形となった。


 このチャンスに今迄日陰に隠れるように応援していた僕たちを含めた大勢の生徒やOBたちが一斉に最前列に移動して、声をからしこの日一番の声援を送った。


 そして、吹奏楽部の応援も更に高らかにスタンドに響き渡る。


 一球目ファール。


 二球目ボール。


 三球目見逃しのストライク。


 四球目ボール。


 五球目ファール。


 六球目ファール。


 七球目ファール。


 カウントがツーボール、ツーストライクと息が抜けない。


 二塁ランナーの尾形の俊足なら、ヒットだと一点は入るが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ