6話
一通りの事情聴取の後にようやく帰れる事になった。夜も遅いし、女の子一人で帰らせるには心配と言う事で、私はお巡りさんが連絡して来てもらった学校の先生に家まで送ってもらうことになった。今日は散々な一日で少し疲れたなぁ…。
それに…あのお兄さんには本当に申し訳ないことをしてしまった…。私のせいだ。もっと私がしっかりしていれば。
お店にも迷惑かけちゃったなぁ。明日は休んでいいって言われたけど、私の代わりに出る誰かにも迷惑をかけてしまっている。
私ってダメだなぁ。
こんな自分が私は大嫌い…。
「なぁ秋山、家はこの辺だっけか?」
「あ、はい…。先生、夏休み中なのにすみません。」
「そんなの気にすることは無いさ。とにかく秋山にケガが無くて本当に良かった!」
「はい…」
「そう言えばお婆さんの体の具合はどうだ?」
「まぁ、良くもなく悪くもなくって感じです…」
「そっかぁ…。お前は?ちゃんと食べてるのか?」
「…はい。」
「なら良いんだけどなー。色々大変だと思うけど踏ん張れ、秋山。」
「…踏ん張るんですか?」
「うん。頑張ってる人に頑張れって言ってもただ分かりきったことを言われてるだけで、これ以上にどう頑張れば良いんだってなると先生は思うんだ。」
「まぁそうですね…」
「だから踏ん張ればいい。今以上に頑張らなくて良いから踏ん張れ。でも、自分が潰れない程度にな?」
「はい…」
「ここだっけか?」
「そうです。すみません、こんな時間まで。ご迷惑をお掛けしました…。」
「気にすんな。お前は自分で色々と抱え込みすぎだぞ?たまには人に迷惑をかけたって良いんだ。もっと人を頼ったっていいんだよ。」
「そうですね…。」
「今夜はゆっくり休め。な?」
「はい…」
「正しく生きてれば、きっと良いことがある。こんな見てくれの先生でも結婚出来たんだから!」
「ふふっ。そうですよね」
「良い笑顔だ!その笑顔だけは絶対に忘れるなよ?」
「はい…!」
「お婆さんには俺から話そうか?」
「いえ…自分で話します。自分の事ですから。」
「そっか…。本当に大丈夫か?」
「はい。ありがとうございました」
「あっ…そうだ」
「…?」
先生は車の後部座席から何か袋を取り出して私に渡してきた。
「ほれ。秋山が夕飯食ってないんじゃないかと思って一応買ったんだけど渡すの忘れてた。持って行きなさい」
「…すみません。ありがとうございます。」
「いいんだ。それよりちゃんと食えよ?バイトも大変だと思うけど何よりも体が資本だ。食わなきゃ始まらない。」
私は少し笑いながら黙って頷いた。
「夏休み明け…二学期、また学校で会えるか?」
「それは…分かりません。」
「いや…秋山は来る。元気に学校へ来て、友達と一緒に授業を受ける。…先生はそう信じたい。」
「出来るだけ努力します。行ければ良いですけど…ダメな時はお願いします。」
「いいのか?」
「はい」
「分かった。じゃあ先生はこれで。」
「ありがとうございました。」
先生の車を見送った後、私は重い足取りで家に入る。
正しく生きてれば良いことがある…か。
最近何にも良いことないなぁ…。