ダイニング2
私は再びダイニングの探検を始めた。
彼女が優しく声をかけてくれる。
「危ないことは、しちゃだめよ」
私は大きく頷くと早速探検に出かけた。
まずは彼女の周辺を匂って歩いた。
そのとき、棚にぶつかってしまった。
後に、これは彼女が彼にお願いしてオープンキッチンのようなイメージにしてもらったことがわかったが、思い切りぶつかってしまった。
すると上から白い頭に黄色い身体の薄いヤツが落ちてきた。
白い頭は頭を撫でさすりながら立ち上がった。
「なにしやがんでぇ!危ねぇだろ!」
白い頭はこちらに怒鳴り散らしてくる。
私は逃げ出したい衝動にかられたが、ここで逃げ出しては彼女が危ないと判断し、戦うことに決めた。
「ちょっとぶつかっただけのことでしょ?」
「俺は安定感が悪いんだ!見てくれ!この足を!」
確かに足元が広く立てるようにはなっているが、とても不安定そうである。
白い頭は粒々していて、ノコギリのような歯がちらちらと見えていた。
「その足には同情するけど、だからって怒鳴らなくてもいいじゃないか」
「てめえ、ケンカ売ってんのか?それならこうしてやる!」
白い頭は頭から固い粒を飛ばしてきた。
私は視界を奪われた。
しかし、ここで反撃できなくては負ける!と思い、がむしゃらにパンチを繰り広げた。
しかしパンチは当たることがなかった。
そのうちに白い頭から出る粒々が減り、とうとう発せられなくなった。
視界が戻った私は白い頭を掴み、頭に噛みつくと足蹴をお見舞いした。
「痛い、痛い、参った!」
白い頭は悲鳴をあげた。
私はそのまま白い頭を抱え込んでいたけれど、彼女がそれに気がついた。
「みーちゃん、しゃもじはお友達だからね」
と言うと私からしゃもじを取り上げて水で洗い流した。
しゃもじは棚の上に置かれると言った。
「みーちゃんとやら、お前は強いな。お前ならこのダンジョンを攻略できるかもしれない」
「ダンジョン?」
「ダンジョンとは危険の巣窟……砦のことさ」
「攻略したら、どうなるの?」
「それはまだ誰も知らない。しかし、お前のように動き回れて強いのなら、それも可能かもしれないと思うぞ!」
「ダンジョン攻略……やってみる!協力して……くれる?」
「あぁ、男同士拳でわかりあった仲じゃないか!」
「私、三毛だから女の子なんだけど……」
「なに!?その強さでお前は女の子だというのか!?」
「そうだよ、女の子。」
「恐るべしだな……協力できることはしてやるから遠慮なく言うがいい。俺はいつでもここにいる。」
「わかった、ありがとうしゃもじさん」
私は仲間を手に入れたのだった。それから、このダイニングには隠れダンジョンがあることがわかった。
しゃもじが覚えていたのである。
一つ目は彼女がいつも立っているところの奥……壁際の詰まれた袋、それとダイニングの東側の端にあるテーブルの下。それからダイニングから続く脱衣場……ダイニングだけでも大変な数だった。
それに、ダイニング自体も段ボールがたくさん並んでおり、まるで迷路のようだった。
「しゃもじさん、しゃもじさんに会いに来るまでに迷子になりそうだよ」
とため息混じりに言うと、しゃもじは笑った。
「毎回迷路で迷いながら来るといい。頭の運動になる。」
「そうなのかなぁ……」
私は高く積まれた段ボールたちを見てため息をついたのだった。
その晩も私はダイニングで眠った。
彼が彼女に
「こっちに連れてきてやったら?」
と言っているのが聞こえた。
彼女は少し悩むと
「まだ慣れていないのよ、そっとしておいてあげましょう」
と答えた。
私は少しずつ睡魔に襲われてそのまま眠りに落ちた。