勝ち残った4人
早朝からの模擬戦トーナメントも大詰め。
界斗、司朗、斬夜は生き残ることができるのか
早朝から始まった模擬戦のトーナメントもあっと言う間に残りは8人だ。そしてこれから半分の4人が勝ち上がり準決勝が行われる。
準々決勝の対戦相手が発表された。どうやら僕も司朗も斬夜も別々の相手のようで少し安心した。まぁどちらにせよ準決勝に上がったら二人のどちらかとは確実に戦うことにはなると思うがそれよりも今の試合を集中しよう。僕の出番は4番目、最後だ。相手はよく知らない人だ。
「おい界斗、お前の相手ってたしか」
「ん?斬夜は僕の対戦相手がどんな人か知ってるの?」
「あぁまぁ知らないこともないが。片桐ウォーレンス志音。この間転校してきたハーフの奴だよ。魔力の種類はわからないけど体つきが武術をやっているやつのような筋肉だったから近接戦は気を付けろよ。」
近接戦は僕の十八番と言うか勝つための最善の策だったがそれが封じられるとすれば戦いかたを変えなければならないか。斬夜は遠距離からの攻撃が得意だと言っても近接戦も手慣れているがその斬夜がわざわざ忠告しに来るとは余程の相手と見るが。
『準々決勝第1試合を始めます。選手はスタジアムに上がってください。』
そんな放送と共に準々決勝が始まった。
第1試合は僕の予想通り司朗が勝った。
第2試合は真田岳人って奴が勝った。誰だ。
第3試合はやっぱり斬夜が勝った。
そしていよいよ僕の番である。緊張じゃないが相手が何をするかわからない分結構不安であるけど僕は絶対に勝つ。
「御童、片桐準備はいいな。お互い全力で戦え。反則はくれぐれもするな。」
作戦は考えた。あとは片桐君の魔力と魔力量次第だ。
「それでは試合開始。」
開始と同時に片桐君は僕の懐にいた。
それに僕は反応したが動けなかった。
その瞬間みぞおちに強い衝撃と力が抜けていくのを感じた。なにかと考えようともしたがもう考える力も残っていなかった。
僕はそこで気を失った。
「勝者 片桐ウォーレンス志音」
「司朗、さっきの片桐君の技って自分の魔力を使ったものじゃないよね。」
「確かに固有の魔力自体は使っていない。だが体内の魔力は衝撃として使った。あれは恐らく身体中の魔力を腕先に集中させ一気に放出させる技。所謂『はっけい』だ。だがはっけい自体に習得するのにどれくらいの年月を有すると思っている。」
「え?1年2年そこらで習得できないの?だって司朗もはっけい使えるじゃん。」
「俺の技ははっけいではない。あれはパチもんに過ぎない。そしてあんなに、界斗を一撃で仕留めるような威力にまで到達するには少なくとも10年はかかる。界斗でなくても普通の人間でも気絶させるには7年はかかるとされているからあの片桐って奴相当の才能と技量を持っていることになる。」
目が覚めると俺は保健室のベッドで寝ていた。なにがあったかは大体覚えている。まさかあいつの本当に警戒すべきところが接近戦に持ち込まれるところでもあの技でもなかったとは油断したな。まぁあいつが起きなかっただけ良かったのかな。あいつが起きたら冗談抜きに状況が最悪になる。