界斗と司朗
魔力
発見されているもので約200種類存在する。
その中には火を出したり氷を出したり飛ぶことだってできるものもある。これらすべて人は生まれながらに2個授けられている。そして魔力を使うものは基礎として無属性の魔力弾などの技を小学生あたりの段階から教わりそこから自分の持つ魔力の使い方を教わる。非常に便利な反面、これによる事件も少なくない。だから政府はこれを受けて魔力使用による法律を作ったが事件は一向に減る兆しは見えない。この話はそんな世界を生きる人間の物語だ。
国立古賀原高校付属古賀原中学それが僕の通う学校の名前だ。国が魔力の規制をする一方で有能は人材を育成するために設立された学校である。そして僕はこの学校に通う中学1年生の御童界斗だ。僕の能力はどちらかと言えば戦闘向きな方ではないがそこは工夫と応用で補っているから学年の実戦の順位は10位代には入っている。
そして今日は実戦の授業がある日である。実戦の授業があるときは午前授業だが6時から学校が始まりずっと実戦の授業だ。成績上位者からすれば人気の授業なのだが下位の者たちからすれば嫌で仕方ないだろうと思う。
いよいよ始まる。僕はどうやら初戦のようだ。
「なんだ界斗ビビってるのか?」
そんな事を言ってくる男。蒼眼男。月宮司朗。
簡単に説明すれば僕の友達の一人だ。
「そう見えているのならお前のその蒼眼は随分曇っているな。ビビる必要はないよ。相手の魔力の種類も把握してあるし、まぁ勝てないことはないよ。」
「そうかよ。じゃあ勝って見せろよ、どうせお前のことなんだから作戦はたてているんだろうけど相手はあの栗崎なんだから油断はするなよってだけ言っておくよ。」
そうして僕はスタジアムへ向かう。さすが国立学校と言わざるを得ない。普通どこの学校にも20メートル四方のスタジアムなんてないぞ。とかなんとか思いつつスタジアムに立った。
「栗崎、御童、相手に致命傷を与えない程度に戦え。相手を戦闘不能状態にする。又はスタジアムの外へ出した方の勝ちだ。体術、武器の使用はありとする。だが刀などの刃物は使用禁止だ。ならびに重火器も禁止とする。反則行為は俺が力ずくで止めにかかる。いいな?」
『はい!』
と僕も栗崎も返事する。
「では、戦闘開始。」
この合図とともに栗崎が僕のもとへ走ってきた。栗崎の魔力は自身を硬化させる能力だ。だから体術との相性が非常にいい。そしてもう1つの栗崎の能力は振動だ。普通に聞くとそれほど強くなさそうだが硬化した拳を振動させ地面を叩いたらそれだけで地面の一部は粉々になる。ある意味栗崎は体術に特化した選手と言える。だがどんな能力でも必ず欠点というものがあると僕は知っている。例えば硬化能力なら全体を硬化させると極端に素早さが落ちるだから一点に集中させて使われる。栗崎はそうやって戦う奴だから拳を硬化させたタイミングで魔力弾を撃ってしまえばダメージは入る。
そんなことを考えていたらもう10メートルも無いところに栗崎は走り込んでいた。だがまだ硬化能力も振動能力も使わない。多分ギリギリまで硬化させずスピードを落とさず僕に腕が届く距離まで来たら硬化と振動を拳に集めて走ってきた勢いごと僕にパンチをしようとしているのだろう。だがそんなの想定内だ。あと少しの我慢だ、相手がパンチしてきた瞬間が勝負だ。
「くらえ御童これで終わりだ。」
来た。想定通り拳による攻撃だ。
今だ。
『必殺ともえ投げ!』
栗崎は自分の走ってきた勢いそのままスタジアムの場外へ飛び出していった。
「勝者 御童界斗」
1回戦目はなんとか勝ち上がった。トーナメントだからまぁ着々と進めて行くしかないと言うことだ。まぁこれで優勝したら確定で実戦にはAがつく。あとは戦い方戦術で評価が変わったりもする。だから特に勝ち負けにこだわる必要もない授業だ。どちらかと言えば戦闘での戦術の方が先生に見られている。だからさっきのともえ投げなんて魔力を用いてないから評価はそれほど高くないと思う。じゃあ次の戦いも頑張るか。