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上京女子  作者: さくら花見
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新生活編 第4話

本社のあるSKビルは

花見が想像していた大都会の高層ビル…

ではなく、

9階建ての古い雑居ビルだった。


「8時50分にSKビル 1階ロビーで

山ちゃんと待ち合わせてな!」

と、森田から言われている。


「ロビー」といっても

自販機とビルの管理人室、

小さなエレベーターがひとつある程度だ。


「うちの会社で高層ビルはないか」


このビルを利用する他社の社員なのか

本社の社員なのかわからない人達が

花見の前を通りすぎていく。


山之さんってどんな人なのかな。

変な人じゃないといいな…


今回花見が東京転勤となったのは

山ちゃん、山之瑛太から

新人教育を受けるためだ。


20代後半の男性が通ると

山之ではないかと凝視してしまう。


すると、花見の前にひとりの男が立ち止まった。


20代後半というより花見とあまり変わらないように見える。


男は花見のほうをチラチラ

気にしているようだったが

声はかけてこない。


山之さんなのかな…


「あの…」


花見が声をかけようとしたそのとき


「さくらさん!」


男の後ろから、背の低い小太りの男が

かけてきた。


「さくらさんだよね?」


「あ!はい。えっと、山之さん?」


愛想のよいその男は、走ってきたのだろう

頬を赤らめて笑顔で頷いた。


「じゃあ、上がろっか。」と

エレベーターへ向かう。


あの人じゃなかったんだ。


山之かと思っていた男の方を見ると

男も後から来た女と話しており

エレベーターに乗ってくるようだ。


山之が9階のボタンを押し、

一緒に乗り合わせた二人に

行き先を聞く。


「8階でお願いします。」


答えた女は営業だろうか。

高そうなスーツを着こなし

化粧も厚すぎず薄すぎず

香水もすれ違いざまほのかに香る程度だ。


素敵だなぁ…


8階でふたりがおりると

山之が口を開いた。


「初出勤、どうだった?迷わなかった?」


「迷いました。新宿駅…。

駅からはまっすぐだったんで。なんとか」


「はは。新宿駅ねぇ。

人もすごかったでしょ。

慣れるまでは大変かもねぇ」


山之は話しながら

「株式会社エンターシステム」と書かれた

扉のドアにセキュリティカードをあて

扉を開けた。

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