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名も無き将軍の物語  作者: しまりす
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城塞都市を目指す黄金騎士と吟遊詩人。

城塞都市を目指す黄金騎士と吟遊詩人。①



黄金騎士の進むところ戦いは止み、人々の心に花が咲く~♪


そのような吟遊詩人の口伝えによる風の噂が彼の人徳を地の四方へと広げて行った。


幼子から老人に至るまで彼を知らない者がないほどになった。


しかし、この噂を快く思わない輩もいた。


この地方で強大な力を持つ城塞都市の野蛮王と、その一党である。


野蛮王は剣による力で近隣の豪族を支配下に置いた人物である。


彼は黄金騎士の存在が、やがて自分の脅威になることを知っていた。


黒馬暗殺団を編制し、黄金騎士が自分の城塞都市へ到着する前に無きものにせんと暗躍していた。


野蛮王の宮殿で彼の前にかしずく黒馬暗殺団。


野蛮王は、すくっと王座から立ち笏を翳して黒馬暗殺団に黄金騎士の行く手を阻み殲滅するよう指示した。



『黒馬暗殺団よ!!』



『見事、黄金騎士なるものの首を我、前に持ち帰った暁には領主の位を授ける!』


『爵を名乗り、思いのままに領地を納めるがよい!』


黒馬暗殺団は深く野蛮王に頭を下げ、その場を去った。


一方、当の黄金騎士と騎士団、そして彼らに新たに加わった改心した大男は城塞都市を目指して進軍していた。


彼らが森の中を貫く幅の広い一本道に差し掛かった時、道の傍らで竪琴を弾く吟遊詩人の姿があった。


青い眼に美しいブロンドの髪を靡かせる彼女は黄金騎士の隊列に加えてもらいたいと黄金騎士に懇願した。


黄金騎士は吟遊詩人の美女に馬を一頭与えて隊列に加えた。


吟遊詩人は平民とは思えぬ気品を備えていた。


彼女は野蛮王に国を奪われ亡国の姫であることは、今は誰も知るよしもなかった。


日増しに数を増やしてゆく黄金騎士の隊列がながく延びてゆく。




城塞都市を目指す黄金騎士と吟遊詩人。②



森を抜け広い丘陵へと出た黄金騎士の一行。


長老団の一人が馬を走らせ、辺りを、ひととおり見回して戻って来た。


『起伏のある、この土地柄に詳しい者はおらぬか?』


大男が前に出て長老に語り掛けた。


『ワシは以前、ここで野蛮王の一党とたたかったことがある!』


『ここを通る時は辺りに十分、気を配らねーと痛い目に合うぞ!』


長老は大男に隊列の先導をするよう促した。


『お主は、この地方に詳しいようだから先を進み我らを城塞都市へ導いてくれ!』


大男は遠くに見える一本の大木に視線を送り手を振った。


『あの大木が目印だ!』


『あそこまで進めば、遠くの方に河を挟んで城塞都市が見えてくるはずだ!』


その言葉を聞いた美しき乙女である吟遊詩人が小走りに馬を走らせて、黄金騎士前に出て来た。


『お待ちください……その道は危のうございます。』


『起伏が激しく、賊や敵の伏兵などが隠れるのに絶好の地理でごさいます。』



『ここは少し遠回りにはなりますが大きく迂回して河沿いを進まれるのが賢明でございます。』


黄金騎士は彼女の言葉を聞き入れ大きく迂回して河沿いの道を選択した。


『急がば回ることを覚えねばならない。』


黄金騎士の一行は進路を変更した。


野蛮王の暗殺団は、遠くからその様子を見て舌打ちをした。


『引き返すぞ!』



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