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~ 私がオーナーに? ~

今月も 残り10日になった頃 …


温泉旅行の行き先も決まって 私は 少し浮かれていた …


仕事を終え 店を出るため エレベーターに向かっていたら


マネージャーの 広尾さんに呼び止められた …


「看板が辞めるって事でね オーナーが お礼を言いたいと言ってます … 少しだけ良いですか?」


マネージャーの 広尾さんは ニッコリ微笑んだ …


私は 「はい … 」と返事をして 広尾さんの後ろについて歩いた …


広尾さんが 普段待機している 受付の奥の部屋に案内され


その部屋は 月二回のお給料を受け取る場所でもあったし 別に 緊張もしなかった …


「看板 お疲れ様でしたね … 」


強面な オーナーは優しく私を労った …


私は 会釈をし オーナーが手を差し出した向かいのソファーに腰を降ろした …


オーナーは 微笑みながら …


「看板 !今まで 良く頑張ってくれました 女性としては 辛い仕事でしょ? 其を頑張り抜いた! ありがとうございます! 」


オーナーは立ち上がり 深々と頭を下げてくれた …


「いぇっ … そんな … 私こそ お世話になりました … 」


何だか 申し訳ない気持ちになってしまい


私も立ち上がり 頭を下げた …


其から オーナー と 私は 互いに ソファーに 座り …


オーナーは とても優しい口調で …


「看板 … 此の後 どうされるんです?」


と そう聞いた …


私は 少し考えて …


「はい … 母と二人で 温泉旅行に行って… 戻ってから 此からの事を考えようと思っています … 」


と 応えた …


オーナー は 心配そうな顔をして …


「温泉旅行ですか 良いですね … でも まさか その後 別の店で働くなんて事は無いですよね? 」


と聞いた …


私は 風俗は辞める事に決めていたので


「其は 絶対に無いです!」


と キッパリ 応えられた …


オーナー は 少し 安心したような顔をしてから …


ハッ!と何かを思い出したような顔をして …


「リオ嬢 … いや 看板 ! 看板 がオーナーになるって言うのは どうでしょう? 」


「えっ?」


オーナー の 唐突な 言葉に 私は 驚いた


「いえね … 看板も お解りの通り … 此の世界は 女性が宝です ! 私も10年程 此の業界にいますがね … 男は用心棒になれても 女性のような華にはなれません …でも… 必至に生きている女性ってのは 沢山の悩みを抱えていますよ … 金 … 男 …子供 … 借金 … 暴力なんてのも… ですが 看板も解ると思いますが 男ってのは どうもダメだ ! 女性の 抱える悩みを面倒と感じてしまう … 男には腕力があるから そいつで抑えられると考えてしまって … やってみませんか? 看板なら 俺らなんかより 女性達が安心して働ける店 創れますよ! 此の業界を経験した 貴女だからこそです!ハッキリ言います 此の業界… 裏 … 所謂 ヤクザってのと繋がってます …じゃなきゃ商売なんてできねぇ … そっちには俺からキッチリ話ししますよ!看板! 1000万を資金に オーナーやってみませんか?返事は 温泉旅行から戻ってからで良いですよ! 不安もあるでしょう … でも 此の業界1000万なんて あっという間に戻ります … 本当です ! まぁ … ゆっくり考えてみて下さいよ … 」



オーナーは優しく 微笑んだ …



話しを終え 私は 店の玄関へと向かった …



オーナー … ? 私 が … ?



此の仕事をしていれば 解る …


店で暴れたり 女の子の嫌がる客じゃなければ 男性の出番なんて 略 無い …


電話や受付の対応をして ビラを配って …


蛍光灯が消えたら 替えて …


給料日に 給料を渡して …


後は …


「お疲れ様です !」って言うくらい


此の人達 の 給料って …


私達が 躰を売って稼いだ 金から出てる …



此の業界には 大きく分けて 二種類の 女の子がいる …


根っから H の好きな子 と …


金が欲しい 子 …



金が欲しい 殆どの女の子が …


死ぬか 生きるか …


そんな 想いを抱えている …



私なんて …


ただ 金が欲しかっただけで …



借金も無いし …


ヒモ男 も いないし …


そういう面では …


良い方だった …



女の子達は 店では 明るくしてるけど …


本当 は …


皆 泣いていた …




泣いたって 何も変わらないって …


泣いても 誰も助けてくれないって …


だから 強くならなくちゃって …


顔は笑って 心で泣いていた …



「私に 出来るかな … オーナー … 」



私は 店の前でひろった タクシーの中で 呟いていた …



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