村の復興
目が覚めると外から板を打ち付ける音や荷物を運ぶ馬車の音などが聞こえてくる
窓から空を見上げると陽はほぼ真上にあった
もう昼か・・・・・
俺は伸びをしてベッドから出た
酒は飲んでいないが寝不足のせいか足元がふらつく
宴会は昨日というか今日の明け方まで行われていたはずだ、朝日が見えていたのだから・・・
ヤシロちゃんはご飯を食べるとうとうとしていたので無事だった家屋に移動させ寝かせた。
殆どの家が半壊だったが、半壊していても住める場所や被害のなかった家もあったのでそれぞれの家に皆で雑魚寝した
男たちの大半は外で寝ていたが・・・・・
俺は何故かベッドに通されてしまった
とても申し訳ない・・・
宴会が終わる前に村長や村人がお礼の品と言い小包を渡してきた。
宴会が終わったらすぐに寝てしまったので小包の中をまだ見ていない
着替えてから小包を開ける
中身は服の上下2着と金貨が10枚程入っていた
残念ながら夜のお勤めは無かったが・・・本当に残念だ、うぅっ
荷物をリュックに入れ外へと出ていく
通りは資材を積んだ馬車が沢山走っていた
俺はやることがないので広場に行った
広場には村の子供達が追いかけっこをして遊んでいた
その中にヤシロちゃんもいた
俺に気づくと友達に話しかけてから俺の方に向かってくる
「こんにちはー」
ふと、昨日のことを思い出し思わず顔をそられてしまった
「こんにちは」
「どうしたんですか?」
ヤシロちゃんが俺の顔をのぞき込んでくる
「い、いやなんでもないよ。ちょっと昨日のことを・・・」
あっ、つい口が滑っちゃった・・・・・
ヤシロちゃんは昨日のことと聞いた瞬間ぼふっと音のしそうな勢いで顔を真っ赤にさせた
「あ、えっと、その・・・・・」
ヤシロちゃんが言葉に詰まる
俺は慌てて話をそらす
「ヤ、ヤシロちゃんはもう大丈夫?ヤシロちゃんの親も無事だった?」
「はい、私は見ての通り大丈夫です。お父さんもお母さんも一時的に捕まっていましたが何もされていませんでした」
ヤシロちゃんの家族は無事なようだ
そういや、ヤシロちゃんのお母さんは病気だって言ってたが大丈夫なんだろうか?
「ヤシロちゃんのお母さんは病気じゃなかったっけ?」
「えっと、この間リュウさんと一緒にカリンを沢山持ってお医者さんに渡したらお薬を作ってくれてそれを飲むと次の日にはお母さん病気が治ったんです」
「そうか、よかったな」
カリンはそんなに早く病気に効くのか、凄いな・・・・・
「はいっ!」
昨日とは違い元気な笑顔だった
それから1週間後
かなり村も元に戻りつつある時俺の元に手紙が届いた
差出人はえぇと、国王!
手紙を読んでみると首都クルータルの中心部にある王城に来るようにと書いてあった
そういや、騎士団のアリアさんと別れる間際に功績が評されるとか言われてたっけ?
ソルトの村からは馬車で2時間程度、歩けば最低でも6時間は掛かるだろう・・・・・あぁ、面倒だ
手紙の最後には「この手紙が届いてから10日以内に来るように」とも書かれてある
10日かぁ〜もう少しはゆっくりしていてもいいかな?
10日もあるのだからゆっくりしよう!
なので今日はベッドの上でゴロゴロしたり外に出て散歩したりと怠惰な時間を過ごした
次の日外は雨が降っていたこの天気じゃ行けないな。昨日もまったり1日過ごすとしよう、等と無為な時間を過ごしているとあっという間に8日が過ぎてしまった
2日後までに首都クルータルへ行かなければならないのか・・・・・
俺は少ない荷物をまとめて外へ出る
村人たちには首都クルータルに行くことを伝えてはあったが今日行くとは伝えていない
村長のクラックの家へ行き今からクルータルに行くことを伝えると俺に少し待つようにと言って外へ出た
しばらくするとクラック帰ってきた
馬車を用意してくれたらしい
俺はお礼を言って首都クルータルに向かう
村を出る寸前ヤシロちゃんが向こうから走ってきているのが見えた
俺は馬車を運転手に止めてもらい馬車から降りヤシロちゃんの元へと歩いていく
「何でここに?」
「村長に今からリュウさんが村を出ていくって言われて。リュウさん、もう帰ってこないんですか?」
「いいや、帰ってくるよ。ここを拠点に暫くは居るつもりだからね」
「でも、クルータルに行くって・・・・・」
「盗賊団をやっつけたからそのお礼言われるだけだと思うよ」
「でも、でも・・・・・」
ヤシロちゃんは縋るような目つきで見てくる
「幾ら金を積まれても俺はここに戻ってくるから安心しろ、な?」
金貨何百枚も積まれたら迷うかもしれないがヤシロちゃんのためなら俺はその誘いを断る自信がある!絶対に断れる!
「うん、待ってるから早く帰ってきてね。それで、帰ってきたらまた一緒に遊んでね」
「わかった、じゃあ言ってくるね」
ヤシロちゃんの頭を撫でてから馬車に戻る
「行ってらっしゃい」
ヤシロちゃんが大きく手を振って送り出してくれた
それから約2時間後首都クルータルに着いた
馬車の運転手はそのまま帰っていった。帰りは歩きかぁ〜
俺は中心部にある王城に向かって歩き出した
門前に立っていると門番らしき人が近寄ってくる
「何者だ、そこで何をしている」
不審者と思われてしまったようだ
「えっと、ここに来るようにと手紙をもらって・・・・・」
手紙を門番に渡すと門番は姿勢を正して
「御無礼を申し訳ありません。ヤガイリュウ様ですね、こちらへどうぞ」
門番に案内され城の中へと入っていく
リアルの諸事情により次回更新は2月26日になります。
次回更新まで首を長くして待っていてください(笑)
ではまた、お会いしましょう!
一部誤字がありましたので訂正しました