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07.鶏のつくね

こういう話は、夜中に投稿すると飯テロになるのですかね?

まぁ、見る人も殆ど居ないでしょうし、テロになる程の影響も無いから大丈夫でしょうな。

本日、おっちゃんは悩んでいた。


何故なら、今日の夕飯にアルテミスのメンバーとミルが食事に来て食事会をするからだ。

アルテミスのメンバーもミルも全員女性なのだが、それに関してはまったく問題無い。

おっちゃんにしてみれば、全員が依頼等の相談に乗ったり教導訓練をしたりした間柄で教え子の様な者達だったからだ。

更には、アルテミスのメンバー達に関しては、彼女達が冒険者へと登録する時から世話をしている為、おっちゃんの気持ち的には娘の様な感覚であり、その様な間柄から自宅の合鍵も渡してあるので、彼女達も時々おっちゃんの家に寝泊りする位の仲でもある。

むしろ、長期の依頼から帰ってくると必ず元気な顔をおっちゃんに見せる為に泊まる事から、彼女達にしても第二の我が家の様な感覚でもあるのだろう。

元々は来客用だった部屋の幾つかも彼女達専用になっており、その室内も彼女達が買い揃えた家具や小物に溢れていて、もはや元が客室だったとは思えない雰囲気を出している。


彼女達も、そんなおっちゃんの気持ちが分かっているからこそ気軽に訪れるのだが。


ただ、今回悩んでいる理由はまったく別の理由である。

単純に、どんな料理を作れば良いのかで悩んでいるだけなのだから。


「う~ん、アルテミスの奴等は依頼終わりに立ち寄るつってたから腹空かしていて沢山食べたがるだろな。 それこそ野菜より肉っ!て面子ばかりだしボリュームが無ければ暴れそうだしなぁ」

「けど、ミルの奴は、この間太りすぎて痩せたいって大騒ぎしたし、あれからそれ程経ってないから肉ばかりは抵抗があるだろうしなぁ。 かと言って、あいつだけ別料理にしたら贔屓だって言って拗ねそうだしなぁ」

「だからって、低カロリーの料理なんぞ出した日にゃ・・・私達は太っているから痩せろって意味ですねとか言って血の雨が降りそうだな。 主に我が身に」


最悪の予想をしてしまい、思わず身震いするおっちゃん。

指摘すると怒り狂い、誤魔化すと猜疑心の篭った眼差しでこちらを見てから静かに怒り、では褒めてみると今度は自ら進んで自虐し逆切れして怒る。

如何なる選択肢を選んでも結局は墓穴を掘ってしまうのだ。

この様に女性の心理は恐ろしい物なのである。


「うん、これ以上想像するのは止めよう。 酷い結末しか想像出来ん」

「それよりも料理だな。 ボリュームがあるけど、それなりにカロリーは低め、ただし、その事に気付かれない物か」


中々の難題に頭を悩ませるおっちゃん。

しばらくの間、うんうんと悩んでいたが、何か思い付いたのか直ぐに材料を用意する為に市場に買出しに行く。

そこで色々と買い込み、買った物をキッチンへと運び入れ調理の準備を整えた。


「さて、思い付いた料理の材料も揃ったし、あいつ等が来る前に料理を完成させないとな」

「どうせ、腹を空かせて来るだろうし、沢山用意しておいてやらないとな」


彼女達が喜ぶ顔を想像しながら嬉々として調理を始めるおっちゃん。

普段から自炊しているが、やはり1人で食べるよりは、食べてくれて感想を言ってくれる相手が居る方が気持ちが違う。

そんな事を思いながら調理の手を進めていく。




・鶏のつくね・




「さてと、まずは鶏のひき肉をメインとした準備からだな」


そう言いつつ、取り出したのは鶏の砂肝だった。


「ひき肉だけだと食感が柔らかくて焼いても歯応えが無いから物足りなく思うし、砂肝のコリコリとした歯応えと味は旨味が増すからな~」

「居酒屋とかじゃ鶏の軟骨を使っているから鶏の軟骨を使っても良いんだけど、あれは歯応えだけで味が無いし、物によっては硬いだけで噛み切れなくて、逆に食べにくくなるからなぁ」

「それに、ただ安さだけが売りの軟骨よりも、砂肝の方が格段に美味しくなるからな」


そんな事を言いつつ、砂肝を調理していくおっちゃん。

砂肝を半分に切ったら流水で洗い、その後粗くみじん切りにしていく。


「お次はショウガと長ネギっと」


ショウガは、皮を剥いたら半分に切り分け、片方はみじん切りにしておき、残りはおろし金を使ってすりおろしておく。

そして、長ネギも根元と青い部分を切り落としたら外側の皮を剥いて洗い、ショウガと同じ位にみじん切りにしておく。


「ショウガも長ネギも臭み取り兼風味増し要員として重要だからな~」

「まぁ、好みで玉ネギやニンジンを加えても良いし、ゴボウ何かを入れても美味しいだろうなぁ」


手を休める事無く、鶏のひき肉に加える物の下ごしらえを終わらせ次の行程に移るおっちゃん。

次に、ボウルに常温に戻した鶏のひき肉を入れて粘りが出るまで根気良く混ぜ続ける。


「鶏にしろ豚にしろ牛にしろ、ひき肉を使った料理を作る時のコツは粘りが出るまで良く混ぜる事だよなぁ」

「この時に、適当に混ぜただけだと出来上がった時にボソボソしたりパサパサしたりして美味しくなくなるしな」

「下ごしらえだけは手を抜けないよな~」


しみじみと呟きながら混ぜ合わせていき、粘りが出たら準備しておいた鶏の砂肝とショウガ、長ネギを入れて混ぜ合わせていく。

そして、全体に混ざったら卵を割り入れ更によく混ぜ合わせる。


「よっし、こんなもんだな。 次は味付けっと」


よく混ぜ合わせたひき肉に、醤油、日本酒、味噌、塩、コショウを加えていくおっちゃん。


「やっぱり、鶏のひき肉の時は和風な味付けだよな~ 普通に塩、コショウだけでハンバーグ風にしても美味しいけど、豚や牛と違って脂分が少ない所為でサッパリしすぎるからなぁ」

「醤油や味噌、日本酒を使って風味を増した方が美味しくなるしな」


そう言いつつ、味に偏りが出ない様にしっかりと混ぜ合わせていく。


「そして、焼いた時に崩れない様にする為の繋ぎの片栗粉を少々っと」


混ざったタネに片栗粉を少量加えて混ぜ合わせる。


「粘りが出るまでよく混ぜ合わせておけば、卵だけでも結構崩れないけど、やっぱり繋ぎは少し欲しいからなぁ」

「まぁ、片栗粉も入れすぎると焼いた時に硬くなりすぎて逆にボロボロになったりするし食感も悪くなるから少しだけってのがコツだわな~」


タネが出来上がったのを確認し、次の行程に移るおっちゃん。


「さ~て、本体のタネが出来たし、焼く最中に必要になる物を準備しますかね」


そう言って買い物籠から取り出したのは青々とした大葉。


「やっぱり、鶏のつくねなら大葉が無きゃな~」


取り出した大葉を流水で丁寧に洗い、長めに出た茎を切り落としたら水気を取ってコンロの脇に準備する。


「つくねその物に味付けしてあるから要らないっちゃあ要らないけど、少し濃い目の味付けの方が美味しいだろうし今回は照焼き風の物も半分位作っておくとするかな」


深めの器に醤油、日本酒、ミリン、砂糖を加えて混ぜ合わせ、照焼き風のタレを作っておくおっちゃん。


「よっし、仕上げていくか~」


気合を入れてコンロにフライパンを置く。

フライパンに油を敷き熱したら、タネを適度な量手に取り、フライパンにそっと入れていく。


「今回は、大きさを拳大位にしとくかな。 大きさとかを揃えたいならスプーンとかお玉とか使えば揃えやすいけど、今回はそこまで気を使わなくても良いわな」

「まぁ、タネは柔らかいけど、フライパンに入れた後に形を整えれば良いし、入れる時は広がりすぎたりバラけたりしない様に気を付けて入れれば良いしな~」


大体同じ位の分量に取り分けつつフライパンに入れていき、拳大位になる様に丸く形を整えていくおっちゃん。


「おっと、忘れちゃいけない大葉ちゃんっと」


そして、形を整えたタネの上に大葉を1枚ずつ乗せていく。


「まぁ、大葉は無くても問題無いけどね。 色合いと香り付けってのが大葉の仕事だしな~」

「ちょっと味を変えるなら、タネと大葉の間に種を取って刻んだ梅肉を挟み入れると食べた時に酸味でサッパリとした味付けになるけどなぁ」


そんな応用を言いながら、中火から強火でフライパンに接した面に焼き色が付くまでタネを触らずに焼いていく。


「よ~し、良い焼き色も付いたし裏返したら蓋をして蒸し焼きにするか~」

「そのまま焼くと中まで火が通そうとすると焼きすぎて硬くなっちまうし、焦げやすいからなぁ」

「それに、蒸し焼きにするとふっくらと焼き上がるから美味しいしな~」


5分程蒸し焼きにし、蓋を外して中まで火が通ったか竹串を刺して確認するおっちゃん。

竹串を刺した穴から透明な肉汁が出てきたら、中まで火が通った証拠である。


「よし、中まで火が通ったし半分はそのまま食べる為に取り出して分けておくとするかな」


出来上がった鶏のつくねの半分を取り出し、器に盛りつけていく。


「さ~て、残りは照り焼き風にしていくか~」

「タレ投入~っと」


作っておいた照り焼き風のタレをフライパンに入れ、コンロの火を強火にして全体を揺すりながらつくねにタレを絡めていくおっちゃん。

全体にタレが絡んだら、一度つくねを取り出し、フライパンに残ったタレを半分位の量になるまで煮詰める。

そして、タレが半分位の量になったら、取り出しておいたつくねを再度フライパンに戻して全体にタレを絡ませる。


「お~良い匂い。 それに煮詰めた事で良い照りが出てきたな。 これで照焼き風も出来上がりだな」


出来上がった照り焼き風のつくねもタレと一緒に器に入れて盛りつけていく。


「鶏のつくね2種の完成っと」


「ご飯も沢山炊いてあるし、味噌汁も残った卵を使って溶き卵の味噌汁を作ったし、後は野菜か?」

「折角、和風で揃えたのにサラダじゃ場の雰囲気を壊すし、蒸し暑い季節だからサッパリと食べれる物の方が良いか」


「とりあえず、キュウリを洗ってヘタとか落としたら、塩付けてまな板の上を転がして簡単な塩揉みキュウリを作ってと」

「こいつの添え物は、味噌だな」


「後は~ざっくりとキャベツを刻んで洗って水切りしたら、酢とオリーブオイルと塩コンブを混ぜたいい加減和風ドレッシングかけて良しとしとくかな」

「味が足りなけりゃ醤油でもかけて貰えば良いしな」


「よ~し、これで良いかな? 喧嘩になる様なら、それぞれ個別に皿に取り分けておいた方が良いけど、あいつ等なら気心も知れてるし大皿で出して好きに取らせりゃ良いな」

「準備も出来たし、ダイニングに並べておくとするか~」


そうして、準備万端整えてアルテミス達とミルが来るのを待つおっちゃん。


『おっちゃん、ただいま~』


玄関からアルテミス達が明るい声で挨拶をしてくる。

声の感じから、今回の依頼も無事に達成した事を知りおっちゃんも嬉しくなる。


「おっちゃん、来たよ~! ご飯食べさせて~!」


おっちゃんの家に向かう途中で合流したのか、アルテミス達と一緒に来ていたミルも挨拶する。

挨拶と同時にご飯を催促する辺り、自分の感情に忠実なミルらしいと思い苦笑するおっちゃん。


「おかえり。 今回も無事、怪我も無く依頼を達成したみたいで良かったな」

「後、ミル。 お前は食欲の権化かっ! もう少し言葉をオブラートに包み込めっ!」


そんなおっちゃんの返しに笑い合うアルテミス達とミル。

此処に居る面々にとっては、よくある光景なのであろう。


「料理も出来上がっているし、何時でも食べれる様に準備も出来ているぞ。 ほれ、上がれ」


『は~い♪』


おっちゃんの料理を楽しみにしていたので、嬉々として中に入っていく面々。

そして、明るく賑やかな食事会が始まる。


食事会も最初の方は、今回の依頼で倒した魔物との戦いや、その道中で起きた出来事を話したり、最近の近状や噂等のお互いが持つ情報を交換しあったりといった真面目な話もあったが、そんな雰囲気も食事が始まれば直ぐに終わった。

料理を楽しみ、酒を楽しみ、全員が食事を楽しんでいる。

話の内容も、最近王都で人気のある役者や劇の事や冒険者の中では誰が一番格好良いか、じゃあ騎士の中では~等とりとめない話を笑いながら話している。


『おっちゃん、今日もご飯が美味しいよ~♪』

『ホント、ホント、このつくねもサッパリしてるのと照焼き風でコッテリしてるのの2種類あって、どっちも美味しい~♪』

『このつくねには日本酒だねっ!』

『いや、キンキンに冷えたビールだろっ!』

『はぁっ!? 何を言ってるんだ? 芋焼酎のロックだろうがっ!』

『何を~?』

『何だと~?』

『あぁ~ん?』

『どれでも美味しいから良いかっ!』

『だなっ!』


酒も進んで段々と混沌としてきたが、誰もが楽しんでいる様だ。

そんな光景を眺めながら、チビチビと酒を飲みつつ食事を楽しむおっちゃん。

まだ宴は始まったばかり、明るくも騒がしい宴は夜遅くまで続くのであった。






~本日の調理~

鶏のつくね2種

今回は、最初からタネに醤油や日本酒、味噌で味付けをしましたが、塩、コショウの最低限の味付けだけで作っても良いと思います。

その際は、食べる時に好みでポン酢をかけたり、大根おろしと醤油、温泉卵乗せ等自分好みの食べ方で食べて頂ければ良いかと。

後は、入れる野菜を変えれば和風から洋風へと変わるので、その辺りも好みでどうぞ。


つくねを焼く際の蒸し焼き方法は、ハンバーグを作ったりする時にも利用出来ます。


ハンバーグの場合は、焼く時に凹みを作っておいて、片面が焼けて引っくり返した後に、好みで凹み部分にチーズを乗せたり、卵を割り入れてから蒸し焼きにしても美味しいと思います。

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