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09.簡単焼き豚

今回、体調の都合で途中で休みながら書いたので上手く文中の整合性が取れていないかもしれません。


そして、基本は剣と魔法の世界ですが、調理器具等は調理の関係上そのまま現代にある物を使っています。

異世界にビニール袋あるのかよとかのツッコミしないでくださいませ~

「野菜飽きた~! 肉食べたい~~~! 肉食べたい!肉食べたい!肉食べた~~~い!!!」


突然、そんな事を大声で叫びだすミル。

今ミルが居る場所は、冒険者ギルド内の食堂である。

食堂にて、おっちゃんと最近の近状や近頃組んだ臨時パーティに対しての文句や愚痴、世間話、巷の噂、表では出回っていない裏の情報等を話していた最中での出来事だった。


「何だ何だ突然に。 てか、いきなり叫ぶな五月蝿い」


思いついたら即行動の気分屋であるミルの突発的な行動に慣れているおっちゃんは、呆れながら理由を尋ねる。


「・・・ダイエットの為に最近野菜中心なの・・・」

「うぅぅぅぅ、野菜ばっかりだから力が抜けるぅぅぅ~~~」


テーブルに突っ伏しながら答えるミル。

そして、それを聞いて更に呆れるおっちゃん。


「この前来た時にも言ったけど、バランス良く食べて運動すれば無理なダイエットなんてしなくても体型を維持出来るだろうが」

「てか、何でそんなに痩せたがるんだ? 太っている様には見えないがなぁ?」


ミルの身体を上から下まで見ながら疑問に思い問いかける。

おっちゃんから見ても、しなやかな筋肉が付きながらも女性らしい身体のラインを保っているミルの身体は、虎や豹等といった肉食獣を思い起こし攻撃的でありながらも優美な艶やかさを醸し出している。

他の誰が見ても、10人が10人共おっちゃんと同じ様な思いを抱くだろう。

とても太っている様には見えない。


「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、この間組んだパーティの奴に重い言われた・・・」

「ちょっとふざけて休憩の時に圧し掛かっただけだったのに・・・」

「背後から気配を消して近寄っていきなり圧し掛かったのは私が悪かったかもしれないけど、顔を真っ赤にして怒る事無いじゃん」


ミルが突っ伏した姿のままギリギリと歯軋りしながら恨み言をつぶやいている。

そして、それを聞いたおっちゃんと好奇心で聞き耳を立てていた周りに居る冒険者達は、ミルに圧し掛かられたメンバーの内心を悟り、気付かれない様にため息を付いていた。

その光景を想像して思った彼等の気持ちは1つだった。


(((((どう考えても、恥ずかしくて叩いた憎まれ口にしか考えられん!)))))

(((((てか、純情な奴だったら、ミルに圧し掛かられたら終わるだろ! こいつ無駄にスタイル良いし、顔だって10人並み以上だからなぁ)))))

(((((そんなのが背中に体を押し付けてきて、耳元に顔を近づけて話しかけてきたら駄目だろ!)))))

(((((しかも自分に関する事に対しては無自覚過ぎるから、何も考えず無邪気に抱きついただろうし、相手にどう思われているか分かってないな!)))))


ミルの無自覚で凶悪な肉体的精神的な攻撃を受けたパーティメンバーに対し、内心で手を合わせるおっちゃん達男性陣。


(((((誰だか知らんが成仏しろよ。 むしろ、思い出して悶々としていそうだがな)))))


そんな事を思いつつ、話を続ける。


「で、今までダイエットの為に野菜中心の食生活をしてたって訳か」

「そして、腹が減って我慢出来なくなって、さっきの叫びに繋がると」


「その通りです」


「はぁ~、そんな事続けたら依頼の最中に事故起こすぞ? 太ってないからダイエットなんぞ止めろ」

「むしろ、そんな無理して本来の力を出せないとか、お前の力量を買ってパーティに誘った相手にとってみれば迷惑以外の何物でも無いしな」

「常に自分の本来の力量を十全に出せる様にしておくのが冒険者の基本だろうが。 馬鹿な事やってないで元通りにしろ」


呆れつつも、今のミルの状態は危険が伴うので真剣に注意をするおっちゃん。


ほんの些細な事でも死に繋がる危険が伴うのが冒険者稼業である。

その為に、多少厳しく思える事でも容赦無く注意しなければ本人の為にならないのだ。

更に、パーティを組んでいるのであれば、その不調に伴う危険は本人のみならずパーティ全体に降りかかる。


「は~い。 相変わらず厳しいなぁ、おっちゃんは」


流石に、冒険者としても中堅所であるミルもそれは理解しているのだろう。

おっちゃんに言われて気持ちを切り替え返事をした。


「ダイエットは中止にするっ!」

「だから、おっちゃん肉食わせて!」


今までの野菜ばかりの食生活が相当辛かったのか、すぐにダイエット中止を宣言しておっちゃんに肉料理をねだるミル。

それを聞き、苦笑してしまうおっちゃん。


「分かった分かった。 丁度下ごしらえしている最中の物があるから食わせてやるよ」

「これから調理してやるから夕飯の時に食いに来い」


「やった~♪ 行く行く、しっかりお腹空かせて行くよ~!」


小躍りしそうな勢いで喜び返事をするミル。

それを聞きつつ、用事も終わらせたおっちゃんはギルドを後にする。

そして、自宅に到着したおっちゃんは、直ぐにキッチンへと向かい調理を開始する。




・簡単焼き豚・




「さて、準備しておいた物を取り出すとするかな」


おっちゃんが冷蔵庫から取り出したのは、ビニール袋にタレと一緒に漬け込まれた豚ロース肉のブロックだった。

これは昨日から下ごしらえして準備しておいた物だ。


~前日の下ごしらえの状況~


下ごしらえ自体は難しい所は無いと思う。

豚ロース肉のブロックは、脂身と赤身の境を包丁で何箇所か刺しておくだけだ。

ついでに、所々全体的に適当に包丁で刺しておいた方がタレが染み込みやすくなる位がコツだろうか。


「豚バラ肉のブロックを使っても良いんだけど、豚バラ肉のブロックだと脂身が多すぎて焼き豚には合わないんだよな~」

「豚バラ肉のブロックの場合は、煮豚や角煮とかの煮込み料理にすると脂身がトロトロにとろけて美味しいんだよな~」

「焼き豚にするにゃ、脂身より赤身が多い豚ロース肉のブロックの方が美味しく出来るな」

「まぁ、ブロックで買えばロースだろうがバラ肉だろうが殆ど価格が変わらんから気にしなくても良いだろうしなぁ」


そうして肉の下ごしらえを終え、次にタレの準備をするおっちゃん。


「タレも1から作ると面倒だけど今は簡単に代用出来る物が売っているから便利だよなぁ」


そんな事を言いながら冷蔵庫から取り出したのは焼肉のタレ(辛口)。


「これにちょっと追加するだけで充分美味しいタレが出来るから便利だよなぁ」

「それに自作するよりも市販品の方が様々な野菜や果物が入っているから旨味もコクも上だからなぁ」


焼肉のタレ(辛口)をビニール袋に注ぎ入れたら、更に追加でハチミツやすりおろしたショウガ、ニンニクを加えて混ぜ合わせるおっちゃん。


「ハチミツを加えると肉が柔らかくなるし、風味も良くなって焼いた時に照りが出るんだよな」

「後、ショウガやニンニクはチューブの物を使えば自分ですりおろす必要も無いから楽だよな~」


そう呟きながらタレが入ったビニール袋に下ごしらえした豚ロース肉のブロックを入れて軽く揉み込み、肉全体がタレに漬かる様にビニール袋から空気を抜きつつ口を閉じるおっちゃん。


「よっし、これで後は冷蔵庫で1日漬け込んでおけば良いな」

「てか、この下ごしらえを終わらせると調理の9割が完了したみたいなもんなんだよな~」

「まぁ、真空パックとか出来ると3時間~半日位まで漬け込む時間が短縮出来るけどね」


そんな事を言いながら、冷蔵庫に豚ロース肉のブロックを漬け込んだタレ入りビニール袋を入れるおっちゃん。


~前日の下ごしらえの状況終わり~


そうして漬け込んだ豚ロース肉のブロックをビニール袋から取り出すおっちゃん。


「うんうん、しっかりとタレが染み込んでいるな」

「漬け込んだタレは後で使うから捨てずに残しておかないとな~」


そうして次の準備に移る。


「普通に考えると焼き豚って大変そうだけど、オーブンとか面倒な物を使わなくて出来るのを知らない人が多いんだよな~」

「大体の家にあるトースターを使うと上手く作れる事って知られてないよなぁ」


アルミホイルをトースターに付属の受け皿に貼り付けていきながら呟く。


「アルミホイルを貼り付けておけば、焼いた時の焦げたタレや肉汁で汚れるのを防げて後片付けが簡単だし、トースターの輻射熱で更に火が通りやすくなるから一石二鳥だよなぁ」


受け皿に漬け込んだ豚ロース肉のブロックを乗せ、更にその上に覆う様にアルミホイルで包んでいく。


「鶏モモ肉とか鶏胸肉位の厚さなら、そのまま焼いても中まで火が通るけど、今回は流石に厚みがあるからなぁ。 普通に焼くと中まで火が通る前に表面が黒焦げになりそうだから包み焼きにする事でまずは中まで火を通さないとな」


そして、包んだ物をトースターに入れて1000wで15分セットし焼いていく。


「さ~て、とりあえずチンするまで暇だなぁ」

「ミルは、そのまま食べても美味しく食べれるだろうけど、私には重いだろうし大根おろしでも作っておくかな」

「大根おろしと一緒に食べればサッパリ食べれるし、大根おろしにゃ消化を助ける効果もあるからな~」


爺臭い事を言いながら焼いている間に大根おろしを作っていくおっちゃん。

やはり、年を経ると若い頃の様に食べられなくなる物らしい。

そんなこんなをしている間に15分経ち、トースターから音が鳴る。


「お、15分経ったな。 じゃあ、包んでいたアルミホイルを外してっと」


包んでいたアルミホイルを外し、肉を見ると火が通り色は変わっているが、包み焼きしていた事で焼き色は付いていないのが確認出来た。


「うん、大体中まで火が通ったっぽいな。 よっし、このまま仕上げていくとするかな」


そう言った後、包み焼きにした豚ロース肉のブロックを再度ビニール袋に残ったタレに全体を浸してから受け皿に乗せる。


「次は焼き色と照りを付けていくとするか。 時間はまた15分で良いな」


今度はアルミホイルで包まず、そのまま焼いていく。


「後は、時々残ったタレを全体にスプーンとかで掛けつつ全体に焼き色と照りが出る様に引っくり返しながら焼いていくだけだなっと」


時々、トースターを開け、タレをスプーンで肉全体に掛けつつトング等で肉を掴んで受け皿に残ったタレに絡めながら裏返して全体に焼き色が付く様に調整するおっちゃん。

受け皿に残ったタレを絡める度に肉の表面に照りが付いていき、タレが焼ける良い匂いがキッチン全体に拡がっていく。

この場に野菜ばかり食べていて肉に飢えたミルが居たなら、おっちゃんの制止を振り切って襲い掛かるだろうと思われる位の暴力的な匂いは換気扇から外まで拡がり、近所で飼っている犬達にも届き、外が鳴き声で騒がしい。

おっちゃんも作りながら拡がる匂いでお腹が空いてきた程だ。


「よ~しっ! 良い焼き色も付いたし完成だっ!」


全体に綺麗な焼き色が付き、タレを絡めながら焼いた事で付いた照りが光を反射してキラキラと輝いて見える。

すぐさま切って味見をしたい所だが、グッと我慢するおっちゃん。


「出来立てを直ぐに食べたい所だが、熱々の所を切ると折角の肉汁とかが抜けちゃって味が少し落ちるからなぁ。 粗熱が取れるまで切るのを我慢しないとな」


受け皿毎トースターから焼き上がった豚ロース肉のブロックを取り出し、粗熱が取れるまで置いておく。

素手で触っても大丈夫な位冷めてきたら、まな板に移し斜めにそぎ切りしていく。

厚さは好みだが、今回はミルが満足する様に厚めに切って器に盛り付けていく。


そして、出来上がった焼き豚と共に自分用に用意した大根おろしや温泉卵を食卓に並べ、ミルが来るのを待つ。

勿論、ご飯は炊きたての熱々を用意してある。


「おっちゃ~~~んっ! 来たぞ~! 肉食わせろ~~~!!!」


騒々しい大声と共に玄関から飛び込んでくるミル。

相当腹を空かせているのだろう。

その引き締まったお腹からは空腹を示す様にグーグーと音が鳴り、口元も今にもヨダレが垂れそうな程だ。

そして、勝手知ったる何とやら、そのままの勢いで支度がしてある食卓へと着き、おっちゃんがご飯をよそうのを待ちわびる。


「ほら、沢山用意したからそんなにがっつくな」

「かきこみすぎて喉に詰まらせるなよ~」


そんな忠告をしたが、ミルの耳には殆ど入っていない様だ。

ご飯を受け取るなり、すぐさま焼き豚と共に口に放り込む。

気に入ったのか、目を爛々と輝かせて次々と焼き豚を食べていくミル。


「ほれ、温泉卵を崩して焼き豚に漬けて食べても美味しいぞ」

「後、大根おろしを付けてもサッパリとするから、ゆっくり食べろ~ 肉は逃げないぞ~」


ミルの食べる様子を見て苦笑しながら自分の分もゆっくりと食べていくおっちゃん。

肉の饗宴は、ミルが満足するまで終わらなかった。

そして、満足するまで食べたミルは、目を細めつつ最後にこう言った。


「うぅ~大満足~~~♪ もう2度とダイエットはしないぞ~ 肉最高~~~!」


明日、体重計に乗ったら逆の事を言いそうだなと思いつつも、とばっちりが怖いので口を噤むおっちゃん。

そうして、大満足の夕飯を食べ終え、平穏に一日が終わる。






~本日の調理~

簡単焼き豚

肉をタレに漬け込めば後はトースターで焼くだけなので非常に簡単だと思います。


今回は、豚ロース肉のブロックを使いましたが、鶏モモ肉や鶏胸肉を使っても美味しく出来ます。

鶏肉を使った方が、豚肉よりもサッパリと食べられるかと。


同じ様に牛のモモ肉のブロックを使えばローストビーフもどきも作れるかと。

その場合は、アルミホイルで包み焼きをせずに時間も10分程度にして表面に焼き色が付く程度で済ませると中がミディアム位で良い感じになるかと思います。


漬け込むタレも、焼肉のタレ以外に醤油、ミリン、日本酒、ハチミツを合わせた物をベースに好みで調整しても美味しく出来るので、自分オリジナルを作ってみても良いかと。


どうぞ、色々工夫してお試しあれ~

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