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短編小説

ゴミ捨て場から見る空は、今日も青い。

作者: うわの空

 目の前を行き交う人々が 不気味そうにこちらを見る

 変ですか 変ですね 誰もこんなところに座らないですね


 ゴミ捨て場から見る空は 今日も青い



 私にはお似合いの場所だって思ったんだ

 ゴミみたいな人間だって言われたんだ

『ゴミはゴミ箱に』っていうのなら 私の居場所はここなんだ


 ゴミ箱が コンテナが 大きな口で笑ってる

 優越感に浸ってる


 ゴミ箱は コンテナは 気付いてない


 自分達もいつか ゴミになるってこと



 中学生くらいの男の子に声をかけられた

 放っておいて 私はゴミです

 そう言ったら笑われた ゴミ箱みたいな大きな口で


「知ってるかな? 分かってるのかな?

 ゴミって実は、とても立派なんだ。


 ほら、例えばそこに落ちてるお菓子の袋を見てみなよ。

 その袋は、ほこりや雑菌から菓子なかみを守って、それから『ゴミ』になったんだ。

 自分の役割をちゃんと果たして、誰かの役に立って初めてゴミになれるのさ。


 君はそういう意味で、自分はゴミだって言ってるの?」 



 私は誰かの役に立ったのか 何かの役に立ったのか

 知らない 知らない そんなこと



「だったらちゃんと、誰かの役に立ってきて。自分が満足できるまで。

 自分をゴミだと言える自信が出来たら、またここにおいでよ。

 その時君は、本当の『ゴミ』になれるから」



 私も 皆も 気付いてないんだ


 自分達が 『ゴミ』にすらなれないかもしれないってこと




 ほら 涙を拭いて 空を見て


 ゴミ捨て場から見る空は 今日も青い





 どこかの誰かが家に帰った後 俺はいつもの場所に腰を下ろす

 今日も天気がいい ここから見る空はいつだって広い

 ほとんどの人間が知らない穴場で 俺は今日も空を見る


 見知らぬ大人に声をかけられる

 なにしてるんだって笑われる

 俺は笑うんだ 今日も明日も



「ゴミの日を待ってるんだよ」



 ゴミ捨て場から見る空は 今日も青い



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― 新着の感想 ―
[一言] ゴミと青空の対比がおもしろい。 護美ともかくから美しさを守っているのだよね。
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