序章:会社は誰のために存在するか
■ 会社は誰のために存在するのか?
私たちは、企業に勤め、企業に評価され、企業の命令に従い、
そして企業のために人生の大半の時間を差し出している。
しかし、奇妙ではないだろうか。
本来、会社とは人間が使う道具であるはずなのに、
現代社会では、人間の方が会社に使われている。
出社し、成果を出し、数字で測られ、
「使える人間」であることを求められる日常。
そこで評価されることが、いつしか「生きる目的」とすり替わる。
人が手段となり、会社が目的となる世界。
それは、いつから始まったのだろうか。
■ 価値は、本当に生み出せているのか?
私は長らく疑問に苛まれてきた。
「人間は0から1を生み出せる存在なのだろうか?」
世間は「価値創造」を声高に叫ぶ。
だが、過去・現在・未来を貫く四次元の視座で考えれば、
創造された価値は、いずれ別の時間・別の場所で失われる。
差し引きゼロに収束するのなら、
私たちが生み出す価値とは何なのか。
この問いは、私から行動の動機を奪った。
社会貢献の言葉は、空虚に響いた。
私は「自分は世界を良くできる」と信じることができなかった。
■ それでも、社会と関わりたい
では私は、何もせずに生き続けるのだろうか。
答えは、否である。
私はある日、気づいたのだ。
自分は価値を創れない。
だが、価値を信じる人々を支えることはできる。
英雄にはなれない。
ならば、英雄が活躍するための舞台を創ればいい。
企業とは、本来「目的実装装置」である。
個人が自身の信念を世界へ届けるための道具であるべきだ。
ならば私が設計すべきは、
個々の信念が最大化されるシステムなのだ。
■ 起業は思想の実装である
この本は、単なる起業論や組織論ではない。
これは、私自身の哲学の実装の記録である。
誰もが企業を利用できる社会をつくること。
そのための最初の試みとして、
私は一つの会社を創ることを構想し始めた。
ここに記すのは、理想を語る夢物語ではない。
現実の痛み、矛盾、限界を抱えながらも、
なお諦めずに進むための実験の設計図である。
■ これは、あなたの物語でもある
もし、あなたが少しでも思ったことがあるなら――
「この働き方、おかしくないか?」
「なぜ私は会社に合わせて生きているのか?」
「もっと自分に正直に働けないのか?」
それは、あなたの中にも
本来の主従関係が反転しているという違和感が
確かに存在している証だ。
だからこそ、私は問いたい。
会社は、あなたの目的を実装できているだろうか?
■ 読者へ
この書籍の目的は、
現代の企業システムの前提を問い直し、
企業と人間の関係を再構築することである。
働くとは何か。
価値とは何か。
企業の存在意義とは何か。
その問いの先にあるのは、
人が再び主役として生きる未来だ。
さぁ、始めよう。
会社を、取り戻す旅を。




