本性
結婚式の笑顔は、家族の未来を照らすはずだった。だが、その笑みはすぐに値札で汚された。
妹は、貧しさから逃れるために外国人と結婚した。祝福の声の裏で、血族の一部はその結婚を計算ずくの「契約」と見なし、金が流れ込むことを当然の権利のように受け取った。金を得られなかった者は抗議し、怒号は家の壁を震わせた。しかし抗議を受けた血族は反発する者を締め出し、憎悪は自然と妹へと向かう。
「汚い女」「自分の体を売って取り入った」——罵りは、人としての尊厳を容赦なく削ぎ落とした。
一方、姉の夫である私は、姻族としてしか関わりのない立場にもかかわらず、長年にわたり義弟の生活費や医療費を負担させられてきた。
「応じなければ離婚せよ」——かつて妻は血族からそう迫られた。仕方なく贈り物をし、金を渡し、家の平穏を買った。だが血族はその負担を「妻が勝手にしたこと」と言い放ち、いまだに再度要求を繰り返す。
妹は恥ずかしさから夫に相談せず、親族に送金を続けた。親はその金で箪笥を作り、食卓を整え、まるで娘の苦しみなど存在しないかのように振る舞った。夫の従兄弟は、妹や私の目の前で平然と言った。
「夫は妹を買ったようなものだ」
義弟は、私に次々と文句を言い寄った。彼は自分の妹を「売女」と呼び、勝手に別居し、自宅には女性を連れ込んだ。自由奔放な振る舞いは、家族の秩序を無視した自己中心の証だった。
ある日、義弟は体調を崩し、透析が必要となった。しかし彼を見捨てたのは血族自身だった。息子さえも離れ、誰も支えようとはしなかった。理由は誰にも分からない。血族は何もしないくせに、姻族である私が負担するのが当然だと言った。血族としての責任は押し付けられ、私は文字通りフリーライダーの代替者にされた。
苦情を述べようとすると、血族は決まって嘲笑した。
「お前の妻が勝手にやったことだろう」
その言葉は、理不尽さを嘲り、私の胸を深く刺した。正義も秩序も、家族という名の下に踏みつけられる現実だった。
さらに血族は追い打ちをかけるように言った。
「嫌なら妻と離婚をすれば良い」
義弟は、結婚してもなお責任を背負わず、妻の実家で問題を起こし、親族の家でも問題を起こし、やがて妹の空き家に一人で住む。子供の世話はほとんどせず、学校行事や誕生日会は妹の資金で賄われる。要求は繰り返され、絶交と和解が何度も訪れた。和解のたびに妹の財布は軽くなり、残るのは絶望だけだった。
——この家族にとって、結婚とは愛の証ではなく、貨幣の取引だった。
金が流れた瞬間、血は分断され、絆は値札で刻まれた。
残されたのは、罵声と絶交と、誰にも背負わされるべきでない支払い。
あるいは、最初から「結婚」という言葉そのものが、誰かにとっては「商品」だったのかもしれない。
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その言葉は、私の胸に深く突き刺さった。妹を物のように扱う価値観が、あからさまに目の前に現れた瞬間だった。