いのち。
4月3日
今日、道端に捨てられている子猫を見ました。
4匹いて、にゃあにゃあ鳴いていました。
僕は、可哀そうだと思ったけれど、うちはマンションだから飼えません。
だから、明日牛乳を持って行ってあげようと思いました。
4月4日
昨日と同じ場所に行きました。
子猫は1匹減っていました。
僕はだれかが家に連れて帰ったんだろうな、と思って少し嬉しくなりました。
家で少し温めた牛乳を薄いお皿に入れて、ダンボールの中へ入れました。
子猫が喜んでくれたので、嬉しかったです。
4月5日
今日はもう1匹しか子猫が残っていませんでした。
でもなんだか変な感じがしました。
残っている最期の一匹は怯えた様子で、僕の後ろを見ていました。
振りかえるとそこには、大きなカラスがいました。
そのカラスは何かを食べているようでした。
よく見ると、それは何か生き物のようです。
気になったので、僕はもっとよく見てみました。
それは、子猫でした。
お腹はつつかれて、目玉は転がり出ていました。
僕は、なんだかとても悲しくなりました。
なんだかとても熱い、コントロールできないような感情が僕の中でおこりました。
次の瞬間、僕はカラスを捕まえて、羽を引き抜きました。
カラスはびっくりしたみたいで、バタバタともがきました。
僕の手に噛みつきました。
僕は痛いと思ったけれど、手を放さないで今度は右の翼を引きちぎりました。
カラスはこの世の終わりのような声をあげました。
五月蠅かったので、僕は耳を塞ぐために手を放してしまいました。
するとカラスは、骨が見えている右の翼を必死で羽ばたかせていたけれど、飛ぶことはできませんでした。
いい気味だ、と思いました。
そうしていると、後ろから先生が来て、「なにしてるの、血だらけじゃない」と言いました。
僕は、「カラスから猫を守ったんだよ」と言いました。
そしてダンボールを振り返ると、もう一羽のカラスが来て子猫を食べていました。
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
―
「あの子は・・・?」
「今は落ち着いて眠っています。」
「何があったんですか?」
「病院の敷地のすぐ外に子猫が捨てられていたようで、その猫たちに牛乳などを与えていたらしいのですが、カラスが猫を・・・
それを見て、カラスに激怒したんでしょう。」
「病気は、悪くなっていませんか?」
「ええ、大丈夫です。
あの子は少し、命に敏感なんでしょう・・・」
4月6日
猫が死んでいるのを見てから、記憶がありません。
どうしてだろう、と思ったけど気にしないことにしました。
僕はいま家のベッドにいます。
とても温かくて、いい気持ちです。
あの猫たちは可哀そうだけど、僕は幸せです。
僕には家があって、家族がいるから。
今日はこれから検査なので、先生が呼んでいます。
先生のことは大好きです。
でも、僕は少し不幸です。
僕には、いのちがあるから。
「日記は、これで終わっています・・・」