05 霧中の試練
「ここで起こっていることは……あなたたちが考えているよりも、はるかに複雑です。」彼女の声は無力感を含みながら、どこか矛盾を抱えた口調でささやいた。
真一と愛理は視線を交わした。彼女はこの場で明らかにされている以上のことを知っている。そして、それを言葉にできない理由を抱えているのだ。
「すべてを話してほしいとは言いません。」真一は誠実な眼差しを向けつつ続けた。「でも、この街を守るための手がかりだけでも教えていただければ……」
女性エルフは短い沈黙に入り、二人を交互に見つめた。彼女の表情には、彼らの言葉が信頼できるかどうかを慎重に見極めようとする緊張感が漂っている。
だが、次の瞬間、彼女の表情は急に硬くなり、冷たさが漂い始めた。そして、彼女は静かに両手を上げると、栗色の長い髪が夜風に舞い、濃い霧がその動きに合わせて渦を巻いた。まるで霧自体が彼女の武器であるかのようだった。
「あなたたちは……自分が何に直面しているのか分かっていないようですね。」彼女の声は冷たく響き、瞳には強い決意が宿っていた。「戦いを通してしか、あなたたちの意図を確かめることはできません。」
真一と愛理はすぐさま戦闘態勢に入り、彼女の一挙手一投足を見逃すまいと目を光らせた。
「どうやら、慎重にいくしかなさそうだ。」真一は低い声で呟きながら、彼女の動きの隙を探していた。
「軽率な行動は控えて。」愛理の「精神感応」は依然として彼女の感情の揺れを捉えていた。「彼女は本当に私たちを傷つけるつもりはないみたい。でも、慎重に対応すべきだわ。」
濃い霧が彼女の動きに呼応するかのように素早く回転し、広場には圧倒的な緊張感が漂った。廃墟と化した広場の中央で対峙する三人。そして、周囲の建物はまるでその様子を見守っているかのように、静かに息を潜めていた。しかし、真一も愛理も気づいていた。これは単なる戦闘ではなく、信頼の試練であるということに。
まさか、自分が好きな歌手やバンドをキャラクターのモデルにして小説に書き込めるなんて、予想外すぎて興奮しています!和楽器バンド、動力火車、最高です!第3部を書くまでにはまだ時間がありますが、それでも今からすごくワクワクしています。どうぞお楽しみに!