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46 蓮華城の誓い

 その日、三人は蓮華城の城壁に並んで腰掛け、遠く沈みゆく夕日を眺めていた。夕焼けの残光が彼らを包み込み、温かな橙色の輝きを映し出している。真一は静かにため息をつき、沈黙を破った。「戦いは一時的に終わったが、これが束の間の平和に過ぎないことは、誰もが分かっているはずだ。」

 愛理は目を逸らさずにうなずいた。「ええ。魔王軍の活動はまだ終息していないわ。私たちは敵の軍勢の一部を討ったに過ぎない……より大きな陰謀が、まだ闇に潜んでいる。」

 リアは複雑な思いを抱えながら、静かに二人の会話に耳を傾けていた。真一と愛理のチームに加わって以来、彼女は次第にこの小さなグループに馴染み、彼らの強さに新たな希望を見出していた。しかし、過去の痛みは未だ癒えず、妹が無事でいるのか――それを心の片隅で常に案じていた。それでも、彼女は理解していた。自分の使命は、囚われた家族を救うことだけではない。この世界の未来のために、戦わなければならないのだと。

「あなたたちの力があれば――」リアはふと顔を上げ、柔らかくも決意に満ちた声で言った。「このすべての裏に潜む秘密を、きっと暴ける。魔王軍は強大だけれど、永遠に支配し続けることはできないわ。」

 真一は微笑み、リアの肩を軽く叩いた。「君が仲間に加わってくれて、本当に嬉しいよ。君の自然魔法は、特に複雑な環境では僕たちの選択肢を大きく広げてくれる。君の力は、まさに唯一無二だ。」

 愛理も微笑んだ。「そうよ、リア姉。リア姉が加わってくれたおかげで、私たちの戦闘スタイルはぐんと多様になった。ただ攻撃力が増しただけじゃなく、さまざまな敵に柔軟に対応できるようになった。それに――リア姉の治癒魔法があるからこそ、私たちは安心して戦えるの。」

 リアは、二人の言葉に込められた真心を感じ取り、静かにうなずいた。幾度となく繰り返された訓練と実戦を通じて、三人の間には確かな絆が築かれていった。

 真一の「物質変化」は戦場の地形を瞬時に変え、さらには武器を生み出すこともできる。そして、愛理の「精神感応」は、敵が攻撃を仕掛ける刹那を察知し、即座に味方へ戦術情報を伝達する。それらの能力とリアの自然魔法が組み合わさることで、彼らは圧倒的な戦闘力を発揮していた。

 ある模擬戦でのこと――。真一が「物質変化」によって強固な岩の障壁を作り出し、敵の遠距離攻撃を阻む。その瞬間、愛理が「精神感応」で敵の次の一手を察知し、すぐさまリアへと指示を送った。リアは障壁の後ろに立ち、そっと両手を大地に触れる。すると、彼女の指先から自然の力が流れ出し、周囲の木々や蔓を操り始めた。まるで生き物のようにうねる蔓が敵へと絡みつき、一瞬にして形勢を逆転させる。

 こうして連携を重ねるたびに、彼らの信頼はより一層深まり、チームの動きもますます研ぎ澄まされていった。まるで一つの意志を持つ存在であるかのように、互いの能力が完璧に噛み合い、驚異的な力を生み出していた。

 しかし――。

 互いへの信頼が揺るぎないものとなっていたにもかかわらず、誰もが気を休めることはなかった。蓮華城の復興は希望の象徴であると同時に、一時の勝利が終わりではないことを彼らに思い知らせるものでもあった。魔王軍の影は未だ人々の心を覆い尽くし、差し迫る危機が、夜の闇をより一層重くしていた。

「これからの道のりは困難だが、僕たちはすでに覚悟ができている。」

 真一は揺るぎない眼差しで遠くを見つめ、静かに、しかし力強く言った。

「僕たちは、ただ蓮華城を守るためだけにここにいるのではない。異世界の神、そして魔王軍――その真実を明らかにするためにこそ、ここにいる。その秘密の裏にこそ、平和を取り戻す鍵があると信じている。」

 これを聞いたリアは、再び勇気を奮い立たせた。妹の安否を案じる気持ちは消えないものの、真一と愛理と共に戦えば、必ずや謎を解き明かし、二つの世界に平和をもたらせると信じていた。

 蓮華城の復興が徐々に進む中、魔法結界の強化や魔法兵器の生産も同時に進められていた。魔法技師たちは昼夜を問わず研究に没頭し、魔晶石を動力源とする障壁装置を改良し続け、魔素の抽出効率を向上させることで防御力を強化していた。職人たちもまた、わずかな休息すら惜しみ、来る戦いに備えて魔法兵器の製造に励んでいた。

 蓮華城には新たな活気が満ち、同時に、真一、愛理、リアの力も日々研ぎ澄まされていく。彼らの目標は、今ある故郷を守ることだけにとどまらず、未来の平和のために戦い続けることにあった。新たな章が幕を開け、眠れる力が徐々に目覚め始めていた。

 そして、束の間の平穏の中で、三人の絆はより一層深まり、もはや戦う仲間というだけでなく、互いを信頼し支え合う、家族のような存在へと変わっていった。

第22章を書き始めようと思って、大まかなプロットまで作っていたけど、ちょっと一旦落ち着こうかなと思って、第3巻の翻訳を始めることにした。

今回はかなりスムーズに進んでいて、序章は昨日のうちに翻訳完了。第3章は3月1日に公開予定で、第2巻の最終話が公開されてから1時間後に投稿する予定。

なんとか今回も「4ヶ月に1巻」「2日に1話更新」のペースを維持したいと思ってるので、どうぞお楽しみに!

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