45 リアの誓い
夜——。
月明かりが蓮華城の中庭を優しく照らし、銀色の輝きが再建中の建物を淡く包み込んでいた。まだ修復されていない崩れかけた建物が、ぼんやりと影を落としている。静寂に包まれた夜の中、リアはバルコニーに立ち、遠くを見つめていた。真一と愛理は、すでに眠りについている。
だが——。
彼女だけは、静かな夜風に吹かれながら、ひとり深い思索にふけっていた。異世界の神と魔王軍の真意を探り、戦争の背後に潜む秘密を解き明かし、この果てしない争いを終わらせること——。
それが、真一の夢。彼の言葉が、今もリアの心の中で響き続けていた。昼間、真一が語った決意と強い意志。その姿は、彼女の心を大きく揺さぶった。
——これまでの私は、ただ生きるために戦ってきた。
だが今。目の前には、もっと大きな目的があるように思えた。彼女はそっと瞳を閉じる。夜の静寂の中、リアの胸の奥に、静かに、新たな覚悟が芽生えつつあった。
彼女の故郷——そこはかつて、エルフたちが自然と調和し、穏やかに暮らしていた、美しく活気あふれる森だった。しかし、魔王軍の侵攻により、すべてが破壊された。燃え盛る炎に包まれた森、捕らわれる仲間たち……そして、自らも彼らの道具として扱われ、自由も、尊厳も、すべてを奪われた。
その記憶が蘇るたび、胸が鋭い刃で抉られるような痛みに襲われる。決して癒えることのない傷——そう思っていた。
しかし、今日の会話は、彼女の心の奥深くに眠っていた何かを呼び覚ました。かつての彼女は、失うことを恐れ、変化を拒んでいた。ただ流れに身を任せ、何も考えずに戦うだけだった。
しかし——真一の夢は、彼女の中で長い間忘れ去られていた「希望」の炎を灯した。
彼女はそっと目を閉じる。そして、静かに考えた。
——私は、どうするべきなのか?
一人で異世界に戻り、妹と同胞を救う方法を探すのか?
それとも、仲間たちと共に戦い、未知の秘密を解き明かし、この世界に平和をもたらすことを願うのか?
心の中で、激しい葛藤が渦巻く。
——その時。かすかな足音が、彼女の思考を断ち切った。振り向くと、愛理がそっと近づいてきていた。
「リア姉、大丈夫……?」
リアはしばらく沈黙したまま、遠くを見つめ続ける。そして——
「……そろそろ、何かを変える時が来たのかもしれない。」静かに、そう呟いた。
愛理は優しく微笑み、そっと彼女の手を握った。「誰しも、そんな瞬間に向き合う時が来るものよ。災厄は多くのものを奪ったけれど、平和を求める機会も与えてくれた。どんな決断をしても、私たちはずっとリア姉の味方よ。」
リアは心の奥に、温かなものが流れ込むのを感じた。愛理の優しさと真一の決意――それこそが、このチームの核となっているのだ。こんなにも深い信頼と支えを感じたのは、彼女にとって初めてだった。
リアは静かに深呼吸し、ついに決心する。「もう、傍観者でいるのはいや……」リアは決意に満ちた瞳でそっと呟いた。「この世界の未来のために、私も力になりたい。これからの戦い、あなたたちと共に戦うわ。」
愛理はほっとしたように微笑む。「リア姉、勇敢で素晴らしい決断をしてくれたね。リア姉みたいな仲間が加わってくれて、本当に嬉しいよ。」
翌朝、リアの決断を知った真一は、穏やかでありながら確固たる口調で言った。「君の知恵と強さは、僕たちにとって不可欠なものだ。君がいてくれるだけで、僕たちは目標に一歩近づける。君を信じているよ。」
リアは小さく頷いた。まだ心の中には迷いが残っていたが、それでも――これが自分の進むべき道なのだと理解していた。過去の痛みは変えられない。だが、これから先、彼女はこの仲間たちと共に戦い、異世界の秘密を解き明かし、二つの世界の平和のために尽力していく。
真一と愛理の強い推薦を受け、冒険者ギルドのギルドマスターは特例としてリアのギルド加入を承認した。一連の試験を経て、リアは正式に冒険者バッジを手にし、真一と愛理のチームの一員となる。
戦いの余韻が次第に薄れ、要塞都市は活気を取り戻しつつあった。復興作業が本格化し、職人たちは城壁の修復に追われ、魔法技師たちは未来の戦いに備えて魔法障壁の強化に努めている。街には希望と緊張の入り混じった空気が漂い、そして、真一・愛理・リアのチームにも新たな章が幕を開けようとしていた。
リアの加入によって、チームには新たな活力と決意が満ちていた。彼女の自然魔法は、真一の『物質変化』や愛理の『精神感応』と見事に連携し、戦術面での柔軟性と脅威をさらに高めている。三人の能力は互いに補完し合い、次第に息の合った連携を見せるようになっていった。
今日はまた第21章を書き上げた!
面白い展開が書けると思うと、ついつい完成したものを読みたくなっちゃって、時間ができるたびに筆が進んだ!
今回は新しい仲間が登場する章で、主人公と深い縁のある人物なんだ。
みんなに気に入ってもらえたら嬉しいな!
どうぞお楽しみに!




