42 暴かれた陰謀
戦いの余韻も徐々に和らぎ、疲れ切った足取りで真一、愛理、リアの三人は冒険者ギルドへと戻った。彼らの衣服は埃まみれで、破れた布地は血に染まり、顔には汗と傷が浮かび、厳しい戦いをくぐり抜けてきたことが一目で分かった。
ギルドの門の前では、チームクマールが長らく待機していた。クマールは明るい笑顔を浮かべ、周炎は手に持った小さな物でのんびりと遊び、チャリヤは心配そうな眼差しを向けていた。
「雷野君、星川さん、やっと戻ってきたね!」
クマールは駆け寄ると、真一の肩を軽く叩き、心配そうに尋ねた。
「すべて順調だったかい?」
「能力を悪用する組織のボスの計画は阻止できた。」
真一はうなずいた。
その声には疲れが滲んでいたが、彼の瞳にはまだ確かな意志が宿っていた。
「だが、まだやるべきことは山積みだ。」
それを聞いた周炎がすぐに口を挟む。
「そうだよ! 私たちはずっとここで待っていたのだ。まさか毒霧の男と獣使いの女を倒しただけじゃなく、騒動の黒幕まで突き止めるとは思わなかった。本当にすごいよ! しかも、思いがけない人物まで連れて帰ってきたのだろ?」
愛理は微笑みながらクマールたちに言った。
「重要な情報を持ち帰ったわ。そして、この作戦ではリアも大きな役割を果たしてくれたの。」
愛理はチャリヤと数言言葉を交わした後、皆の後についてギルドホールへと入った。すでに蓮華城の主要組織のトップや主要メンバーが集まり、場内には緊張感と厳粛な雰囲気が漂っていた。
大きなテーブルの向こうには組織のリーダーたちが一列に座り、真一と愛理が持ち帰るであろう重要な報告を今かと待ち構えていた。
ギルドマスターは一歩前に進み、会議の正式な開始を告げた。
「皆さん、しばらくお待ちください。雷野君と星川さんが非常に重要な情報を持ち帰りました。」
彼の声には緊張と期待が入り混じっていた。
真一と愛理はホールの中央に立ち、集まった者たちは息を詰めて彼らの言葉を待った。
真一は軽く咳払いをして口を開いた。
「報告します。僕たちが突き止めたのは、能力を悪用する組織のボスの計画についてです。彼の狙いは、大規模な暴動を引き起こして注意をそらし、その隙に評議会ビル最上階の魔法障壁装置を破壊することにあります。」
評議会議長の眉が深く寄せられる。
「なぜ彼は魔法障壁を破壊しようとしているのか?」
真一は続けた。
「ボスは魔王軍と結託し、蓮華城の障壁を破壊して魔王軍の侵攻を手引きしようとしています。」
その言葉が響くや否や、ホール内はどよめきに包まれた。衝撃を隠せない者、思わず息を飲む者、顔を見合わせる者――その場にいる全員が動揺していた。彼らはあの終末災害を経験していたからこそ、魔王軍がこんなにも早く新たな陰謀を企てるとは夢にも思っていなかったのだ。脅威が予想以上に深刻であることを悟り、幹部たちの表情は一層険しくなった。
能力者アカデミーの院長は重苦しい表情を浮かべ、低い声で問いかけた。
「……ボスはどのようにして魔王軍と手を組んだのか、詳しく聞かせてもらえるか?」
愛理は深く息を吸い、言葉を選びながら説明を続けた。
「私たちの情報によると、ボスは魔王軍の力を利用し、別の世界へ渡る手段を求めています。理由は、失われた子供の果たせなかった願いを叶えるため……。魔王軍は彼の痛みと執着心につけ込み、自らの計画を遂行するための駒として操っているのです。」
そう言うと、愛理は視線を横に向け、リアを指し示した。
「このエルフの女性、リア……彼女こそが、魔王軍がボスの計画を支援するために与えた“助手”です。」
リアはまるで心の痛みを必死に押し殺すかのように、震える声で恐る恐るホールの中央へと歩み寄った。
「……私は、もともと魔王軍の捕虜でした。」
深く息を吸い、震えを抑えながら彼女は続ける。
「魔王軍は私たちの村を滅ぼし、村人たちを捕らえました。そして……私の強力な魔法の力を見込んで、私をこの世界へ連れてきたのです。彼らは私をボスに引き渡し、この陰謀の道具として利用しました。」
リアの指先がかすかに震える。
「私は魔法の拘束装置をつけられ、完全に支配されました。ボスとその部下の命令に従わされ……この街を、自分の手で破壊することを余儀なくされたのです。」
ホール内に重い沈黙が落ちた。真一が静かに口を開く。
「僕と愛理は、リアこそがこの暴動を終わらせる鍵だと考えました。そして、彼女を説得することに成功し……リアはボスのいる場所まで僕たちを導き、最後の戦いで僕たちを助けてくれた。彼女の活躍がなければ、この作戦は成功しなかったでしょう。」
幹部たちは互いに重い視線を交わす。評議会議長はしばらく沈黙し、やがて深く息を吐いた。
「……この情報は、あまりにも衝撃的だ。直ちに蓮華城の防衛を強化し、すべての防衛システムを徹底的に点検し、抜け穴がないことを確認する必要がある。そして、さらに大規模な侵攻にも備えなければならない。」
その言葉を受け、治安部隊の司令官が静かに立ち上がる。
「我々が直面している脅威は、想像以上に深刻だ。」
鋭い眼差しでホール全体を見渡し、力強く続けた。
「魔王軍の手が、我々の防衛網にまで伸びていた。もはや一刻の猶予もない。直ちに行動を開始する。」
出席者全員が、厳粛にうなずく。ホールの空気はさらに張り詰め、誰もが理解していた。これからの日々が、困難と試練に満ちていることを。
そんな中、ギルドマスターが静かに口を開いた。
「雷野君、星川さん、そしてリア――あなたたちの勇気には、心から敬意を表します。君たちがもたらしてくれた情報は、我々にとって計り知れない価値を持つものだ。」
そして、優しく微笑みながら続けた。
「まずは、ゆっくり休んで体力を回復してください。そして、蓮華城の再建にも力を貸してほしい。」
真一と愛理は、お互いに視線を交わし、黙って頷き合った。戦いは終わった。しかし、それはあくまで「一時的な終結」に過ぎない。本当の試練は、むしろこれからが本番なのだ。二人は深く息を吸い込み、心を落ち着けると、新たな課題に立ち向かう決意を新たにした。
「ありがとうございます、ギルドマスター。」
真一は真剣な眼差しでそう答えた。
「僕たちは、最善を尽くします。」
隣に立つ愛理も力強く言葉を紡ぐ。
「何があっても、私たちは必ずこの危機を乗り越えてみせます。」
会議が終わりに近づくにつれ、張り詰めていたギルドホールの空気も、少しずつ穏やかさを取り戻していく。真一、愛理、そしてリアは、これからの戦いに備え、ひとまず休息を取るために休憩所へと足を向けた。
お久しぶりです!(笑)
最近、本当にいろいろなことがあって、まったく執筆する気になれませんでした。でも、今日はやっと気持ちを落ち着けて、第2巻の残りの章を翻訳し終えました。これで、第2巻は3月1日に完結する予定です。
この巻が終わったら、第4巻の執筆に集中しようと思っています。第3巻の内容はすでに完成していて、いつでも翻訳して公開できるのですが、やっぱりまずはしっかり執筆に向き合い、書くことへの情熱を取り戻したいんです。
そのため、しばらくの間は更新が止まる可能性が高いですが、作品を楽しみにしてくれている読者の皆さんには、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです!
最後に、やっぱりこの一言――どうぞお楽しみに!✨




