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40 深沢の悔悟

「止まらないで、攻め続けろ!」

 愛理の声は冷静ながらも力強く響き、激励に満ちていた。彼女は「精神感応」によって深沢の動揺と弱気な意図を察知し、即座にその情報を真一に伝えた。

 これが勝敗の分かれ目だと理解していた彼女の判断は的確だった。

 真一は迷うことなく再び「物質変化」を発動した。周囲に散らばる金属片が次々と高速回転する鋭利な破片へと変化し、それらは冷たい光を放ちながら深沢に向かって殺到した。それらの破片は鋭い刃と化し、非常に速く動き、致命的な冷気をまとって深沢を追い詰めていった。

「てめえらの卑劣な存在、よくも俺をここまで侮辱する気か!」

 深沢は激しく叫び、最後の力を振り絞って反撃しようとした。

 しかし、彼の能力はすでに大幅に低下しており、飛来する鋭い破片の猛攻を前に、ほとんど防御することができなかった。

 その瞬間、窓の外では雷がさらに激しく鳴り響き、稲妻が頻繁に閃光を放ち、嵐がホール全体を昼光のように照らしていた。

 雷鳴と嵐の轟音が戦闘の激しさを一層引き立て、圧倒的な力強さとダイナミックな情景を作り上げていた。

 リアもその流れに呼応するかのように、大きく深呼吸し、風魔法の力を全身に集中させた。彼女の命令に従うように、周囲の空気が急速に渦を巻き、強力な気流が形成された。

 その気流は次第に巨大な嵐の光輪となり、彼女の手から放たれたその瞬間、咆哮を上げながら深沢に襲いかかった。

 激しい風が会場を吹き抜け、その威力はまるで無数の鋭い刃のように深沢の守備を切り裂いていく。

 嵐の光輪は深沢を直撃し、風の刃が空気を固めた障壁を突き刺していった。強力な回転気流は深沢の体を捕らえ、その動きを完全に封じ込めた。

 深沢の顔にはこれまでにない痛みとパニックが浮かび上がっていた。彼は必死にもがき奮闘したが、防御を維持する力は完全に失われていた。

 真一とリアの攻撃がさらに迫り、ついに防御障壁が完全に破壊された。

「ありえない……」

 深沢は地面に膝をつき、目の前の三人を信じられないというような目で見つめた。

「どうして……俺の計画が……お前たちのような者たちによって台無しにされるのか?」

 彼の声には絶望と敗北の色が濃く滲んでいた。

 猛攻を受けた深沢はついに地面に叩きつけられ、そのまま動けなくなった。怒りと無念の表情がその目に残されていたが、彼は最終的に自分の敗北を受け入れざるを得なかった。

「これが君の終わりだ。」

 真一の声は低く落ち着いており、勝利の確信がにじんでいた。

 激しい戦いはついに幕を閉じ、彼らは共にこの強敵を倒すことに成功したのだった。

 深沢が地面に倒れた瞬間、それまで降りしきっていた大雨がピタリと止んだ。雷鳴は徐々に遠のき、厚く覆っていた暗雲が静かに消えていく。壊れた天井から差し込む数本の太陽の光が深沢の疲れ果てた体を照らし、戦いの終焉を告げていた。

 深沢は仰向けに横たわり、両腕を広げたまま、胸がわずかに上下していた。彼の目はぼんやりと空を見つめ、その中にはもはや闘志も憎しみもなかった。

 空気はまだ風と魔法の余韻に包まれ、戦いの激しさを語り継いでいるかのようだった。

 真一と愛理は警戒を緩めることなく慎重に倒れた敵へと近づき、リアは風魔法の力が消えゆく中で、疲労を押し殺してしっかりと立ち続けていた。

 深沢は重そうに頭を上げ、疲れ切った顔にこれまでの厳しい笑みは影もなく、代わりに孤独と静けさが浮かんでいた。彼はもう抵抗しようとはせず、かすれた低い声でつぶやいた。

「皮肉なものだ……結局、俺はお前たちよなガキに敗れたのだな……」

 その目には、もはや怒りや恨みの色は見えず、代わりにどこかほっとしたような穏やかさが漂っていた。

 愛理は頭を少し下げながら、目の前の深沢を見つめた。かつて圧倒的な強さで彼らを威圧した敵は、今では脆弱で無力な姿をさらけ出している。その姿に、愛理の胸中には複雑な感情が渦巻いていた。彼女はやや震える声で問いかけた。

「なぜですか……? なぜ魔王軍に加勢したのですか? 本当にこの世界を滅ぼしたいと、心から思っているのですか?」

 深沢は苦しそうに微笑み、かすれた声で答えた。

「世界を破壊する?そんなこと……興味などないさ。」

 彼は短く息を吐き、続けた。

「俺が魔王軍に協力したのは、ただ一つ……叶わなかった願いのためだ。我が子の……叶うことのなかった夢のために。」

 その言葉に、真一と愛理は驚愕し、彼らの心を包んでいた敵意がわずかに溶け始めた。深沢の瞳はぼんやりと空を彷徨い、どこか遠い過去を見つめているようだった。

「俺の息子は、夢の中で奇跡と冒険があふれる別の世界を探検したいと、ずっとそう語っていた。彼はいつも笑顔だった……だが……」

 深沢の声がかすれて途切れた。彼は唇を噛みしめ、かつての惨劇を思い出すように眉を寄せた。

「その日、俺は……俺の目の前で、あの忌まわしい怪物が息子を……引き裂いていくのを、ただ見ていることしかできなかった……!」

 彼の声は次第に震え、涙が瞳からこぼれ落ちた。

「血が俺の顔に飛び散ったが、何もできなかった……!」

 深沢は目を閉じ、しばらくの間静かに泣いていた。その涙には深い悲しみと後悔、そして自責の念が滲んでいた。

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