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39 終焉の時

 深沢は真一の素早い反応に驚き、少し眉をひそめた。

「そう簡単には負けないようですね。でも、あなたの努力は無駄だ。」

 しかし、深沢のわずかな動揺から、真一は彼の能力が無敵ではないことに気づいた。深沢の能力「物質固化」には高い集中力が必要だが、複数の物体を同時に完全に制御することはできない。この発見が、真一に新たな戦術のヒントを与えた。

 愛理は深沢の深い意図を「精神感応」で読み取り続け、彼の注意が徐々にそらされていくのを感じた。その結果、「物質固化」能力が大きなプレッシャーにさらされていることが明らかだった。この瞬間こそが反撃の好機だ。

「真、彼は焦って始めています。」

 愛理の冷静な声が真一の心にはっきりと響いた。

「彼はすでに複数の物体を同時に集中して固めるのに苦労しているわ。これを利用して彼の注意をそらし、チャンスを掴むことができます!」

 愛理は突然二丁の銃を構え、遠距離から素早く発砲した。

「バン!バン!バン!」

 鋭い音とともに数発の銃弾が飛び出したが、深沢は軽く手を上げただけで目に見えない障壁を空中に生成し、すべての攻撃を完璧に防いだ。

 その瞬間、真一は全力を振り絞り、地面の石板を巨大な金属の槍へと変え、素早く深沢に突き刺した。

 深沢は驚愕し、明らかに真一がこれほど激しい近接攻撃を仕掛けてくるとは予想していなかった。すぐさま能力を発動し、空気を固めて障壁を張り槍を阻止したが、その動作はわずかに遅れ、辛うじて防御に成功する状態だった。その顔には疲労の色が浮かんでいた。

「てめえ……!」

 深沢は初めて怒りを露わにし、額に冷や汗を滲ませた。

 真一はその隙を突き、変化した太刀を手に深沢に突進した。その鋭い一撃は深沢の胸を直撃し、彼を後退させた。深沢は急いで距離を取ろうとするも、真一は息つく間も与えず、立て続けに猛攻を仕掛けていく。

 一方、拘束されたままのリアは、体内で魔力が高まり続け、次第に自然の呼び声を感じ取っていた。幾度もの努力の末、大地と繋がり、その体内から自然の魔力が泉のように湧き出した。彼女の足元から緑色の光が広がり、蔓が力強く伸びて、瞬く間に会場の床全体を覆い尽くした。

「へい!」

 リアは蔓を巧みに制御し、深沢の足首に巻き付けてその動きを封じた。彼女の自然の魔法は、真一と愛理に強力な庇護を提供していた。愛理は「精神感応」を絶え間なく使用し、深沢の意図を読み取りながら、遠距離から射撃でその行動を抑制し続けた。

 真一は周囲の石板、壁の金属、さらには空気中の塵さえも鋭利な武器に変える「物質変化」能力を駆使し、深沢に全力の総攻撃を浴びせた。

 深沢の顔は険しく、事態がここまで悪化するとは予想外だったようだ。彼は怒りを露わにしながら腕を振り、自身に巻き付いた蔓を折ろうとしたが、リアの魔法で生成された蔓は大地に深く根付き、より強固に彼を縛り付けていた。

「よくもここまで俺を追い詰めたな!」

 深沢の声には怒りと焦りが混じり、不本意さを隠しきれない様子だった。自身の強力な能力にもかかわらず、三人の連携した攻撃に直面した彼は、それぞれの物体を制御するために注意を分散せざるを得なかった。その結果、彼の集中力は次第に散漫になり、空気を固めた障壁も力を失い始め、動きが徐々に鈍っていった。

 深沢の反応を見て、真一はその時が来たと確信した。彼は素早く「物質変化」の能力を発動し、周囲の金属の槍を冷たい光を放つ巨大な戦鎚へと変化させた。重厚な戦鎚を手に、真一は一歩一歩静かに深沢に近づく。その軌跡が空中に眩い光を描き出し、緊迫感が会場全体に満ちた。

「今だ!」

 再び愛理の冷静な声が真一の脳裏に響いた。彼女の「精神感応」は深沢の精神状態を完全に捉えており、彼の注意が極度に散漫になり、「物質固化」能力が確実に弱まっていることを感知していた。

 深沢は防御を強化しようと、再び手を振って力を集中させようとしたが、消耗が激しく、能力の維持が限界に近づいていた。その体は微かに揺れ、彼の顔に疲労の色が濃く浮かんでいた。彼が全力でコントロールを試みている一方で、その動きには明らかに限界の兆しが見えた。

 リアは迷うことなく、自然魔法の力を地面に集中させた。突然、まばゆいばかりの緑色の光が爆発的に広がり、蔓が勢いよく伸びて深沢の体を包み込み、動きを完全に封じ込めた。蔓は生き物のように激しく絡みつき、その強力な締め付けは深沢を確実に窮地へと追い込んだ。

 千載一遇の好機を掴んだ真一は戦鎚を高々と掲げ、全身の力を込めて深沢に叩きつけた。その動きは力強く、戦槌は轟音を伴いながら空を切り裂き、周囲の空気を震わせた。

「ドーン!」

 激しい衝撃音とともに戦槌が深沢に命中し、彼の呻き声が会場に響き渡った。深沢の体は激しく吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。壁は大きく揺れ、瓦礫が四方八方に飛び散った。

「これはまだ終わっていない……!」

 深沢は歯を食いしばり、苦痛に歪んだ顔で地面から立ち上がろうともがいた。その片手を天井に向けて必死に持ち上げ、反撃の機会を狙おうとした。しかし、消耗しきった体力と崩れた集中力のせいで、能力は不安定になり、限界は目前だった。

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