34 共鳴する絆
蓮華城の空気は、まだ火薬の煙の匂いで満たされている。真一、愛理、リアは、戦いで破壊された街路を黙々と歩き、時折遠くから冒険者たちが廃墟を整理する音が聞こえてきた。魔獣の死体と荒廃した建物は、状況が一時的に安定しているものの、本当の脅威がまだ排除されていないことを思い出させる。
「評議会ビル……それが次の目標だ。」
真一の目は固い決意を宿していた。彼は、すぐに行動しなければ、ボスの究極の計画によって蓮華城が完全に破壊される可能性があることを知っている。
愛理はうなずきながら、耳の横の髪をそっと撫でた。
「今回は気を付けないとね。あの男は私たちを簡単には行かせてくれないだろう。」
口調は穏やかだが、その目には今までにない警戒心が浮かんでいる。
リアは黙って二人の後ろを歩いていた。拘束具で覆われた首を手で優しく撫でながら、遠くにそびえる評議会ビルを眺めている。当面は命令に縛られることはなかったが、心の痛みが彼女の顔にかすかに影を落としていた。
その想いに気づいた愛理は、リアの腕をそっと掴み、
「あなたの妹…最近何かニュースはありましたか?」
と優しく尋ねた。
リアは少し唇をすぼめ、しばらく沈黙した後、低い声で答える。
「新しい知らせはありません……魔王軍は未だに彼女を監禁しており、私に彼女に会う機会を与えてくれませんでした。」
その声には限りない不安と無力感が漂っている。
彼らの隣を歩く真一は、真剣なまなざしで、
「最初の約束は忘れません。この事件が終わったら、たとえ魔王軍がどこに隠れようとも、必ず救出します」
と力強く語った。
リアは目を伏せ、肩をわずかに震わせた。真一と愛理の約束が誠実なものであることは分かっているが、心の中の恐怖と絶望に押しつぶされそうになっていた。妹が監禁されている状況を想像すると、無事でいるのか心配せずにはいられないのだ。
「あなたたちが私を助けてくれることはわかっています……」
彼女の声はそよ風のように軽やかだった。深呼吸をし、彼女は心を落ち着けようと努めた。
「でも、時間が足りないのではないかと心配です。」
愛理はそっと手の甲を叩き、柔らかく微笑みながら優しく声をかけた。
「絶対に間に合うよ。ボスを片付けたら、きっとすべてが良くなるから。希望を捨てないでね。」
真一は彼女に顔を向け、穏やかな笑顔を浮かべて言った。
「もう一人で抱え込む必要はないよ。能力を悪用する組織でも、魔王軍でも、どんな結果になろうと僕たちは一緒に立ち向かうよ。」
リアはゆっくりと顔を上げた。その目には複雑な感情が宿り、わずかに声を詰まらせながら言った。
「しかし、魔王軍ですよ……あなたたちにそのリスクを負う義務はありません。」
真一はきっぱりと首を振り、口元に柔らかな笑みを浮かべて答えた。
「義務だからやるのじゃない。君は僕たちの大切な仲間だからだよ。僕たちは一緒にいろいろな経験を乗り越えてきた。君を置き去りにする理由なんて、どこにもない。君の妹さんだって、僕たちにとって大切な存在なのだから。」
愛理もその言葉に深くうなずきながら、力強い声で続けた。
「どんなに危険だとしても、私たちは妹ちゃんの救出に協力する。一人で戦う必要はないよ。」
リアの目は次第に柔らかさを取り戻していった。まだ心の痛みは完全に消えたわけではないが、彼らの真摯な約束から、彼女は長らく失っていた温かさと希望を感じたようだった。彼女は静かに息を整え、胸の高鳴りを抑えながら、そっとささやいた。
「ありがとう……これが終わったら、私も一緒に立ち向かいます。」
途中、太陽が降り注ぎ、廃墟を柔らかな金色の光で包み込んだ。足元の石板は長きにわたる戦いの炎で砕け散っており、空気にはまだ毒霧の匂いが漂っていた。邪悪な能力者の最初の妨害計画を阻止することには成功したものの、リアの顔には依然として晴れない曇りが残っていた。
沈黙を破ったのは愛理だった。彼女は明るい笑顔を浮かべながら尋ねた。
「真、考えたことある?もし世界平和を取り戻せたら、次は何をするつもり?」
真一は少し肩の力を抜いたような表情で、軽く笑いながら答えた。
「そうだな……街で小さな店を開いて、静かに暮らすのも悪くないかもね。君はどうなのだ?」
愛理はいたずらっぽく眉を上げて笑った。
「私? 私は冒険を続けるかもしれないわ。知るか、ある日突然、あなたのお店を壊しに行くかもしれないわよ!」
真一は無力そうなふりをして、わざと大げさにため息をついた。
「それなら、開店前に店が閉まる未来が見えるな……。」
彼らの軽快な会話は、緊張した空気を一時的に取り除き、そのリラックスした雰囲気はリアにも伝わったようだった。彼女の口元がわずかに上がり、目には珍しい優しさが宿り始めた。
「あなたたちは……本当に面白い人たちです。」
彼女はそよ風のような優しい声でそっと言った。
愛理は振り返りながら、笑顔で明るく言った。
「これが終わったら、私たちと一緒に普通の生活を楽しもうよ。三人で冒険チームを組んでも面白そうだね!」
リアはすぐには返事をしなかったが、軽くうなずいた。その瞬間、彼女の目には無関心な色はなく、代わりに期待の光が浮かんでいた。
足元の道はまだデコボコだったが、三人はそれぞれの心の中で進むべき方向を見出していた。リアは妹の安否を案じ続けていたが、この瞬間、彼女の心には、この旅がもう孤独ではなくなったような、ほのかな安心感が芽生えていた。
ただいま戻りました!最近は投資ポートフォリオや戦略の整理に心を奪われてしまい、小説の執筆に対する気力がなかなか湧きませんでした。それでも、毎日小説の更新を楽しみにしている方がいることを知り、心から感動しています!作品の方に戻りますが、この章は邪悪な能力者組織の最後の章で、これまでの章より内容が多く、次巻への伏線も張られています。皆さんが楽しんでくれることを願っています。どうぞお楽しみに!




