18 逃れられぬ痛み
リアの首に巻かれた拘束具は冷たい足かせのように彼女の自由と魂を閉じ込めていた。冷たい金属が肌に食い込み、抵抗すればするほど、もはや自分の体は自分のものではないと痛感させられる。風が吹くたび、スカートの裾がわずかに揺れたが、その心の重さや無力感は風では吹き飛ばされなかった。
彼女の瞳は尽きることのない痛みと矛盾に満ち、青い瞳孔は静かに無力さと葛藤を語っているようだった。魔法の杖を上げるたび、見えない手に心臓をしっかりと掴まれたように胸が張り裂けそうになり、呼吸すら苦しくなった。彼女の手がわずかに震えているのは、拘束具のせいだけでなく、激しく揺れる心の葛藤のせいでもあった。
「ごめんなさい……」彼女の声はかすかなささやきで、風に消え入りそうだった。毒霧と魔獣に侵された遠くの街を見つめながら、心は自責の念と無力感でいっぱいになっていた。人々のパニックと絶望を感じながらも、彼女の手の中にある魔法を止めることはできなかった。
「やるぞ、エルフ!力の限りを尽くし、この要塞を破壊しろ!」ヴェルサニアの冷酷な声が響き、その鋭い視線は背中に針のように突き刺さった。
リアは深呼吸をし、震える手で長い杖を振り上げた。心では強く抵抗していたが、拘束具の支配下では従うほかなかった。長い杖を振ると、周囲の植物が命を吹き込まれたかのように生長し、エメラルドグリーンの蔓が地面から勢いよく飛び出し、瞬く間に防御塔や城壁を覆い尽くしながら構造物を徐々に破壊していった。堅固な石垣は植物の圧力で呻き声を上げ、やがて瓦礫の山と化した。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」彼女の震える声とともに静かな涙が頬を濡らした。
魔法が解き放たれるにつれ、激しい風が街を荒れ狂い、秩序は完全に乱れた。制御のきかない嵐が、飼い慣らせない獣のように暴れ狂い、猛烈な風が塵や瓦礫を巻き上げ、街路の柵を吹き飛ばし、高層の建物さえも揺らした。
同時に、彼女の指導により水流は一層激しさを増し、堀の水位が急速に上昇して周囲の道路や家々を浸していった。人々は必死に激流から逃れようとしていたが、彼女は高鳴る心臓を抑えながら、ただその様子を見守るしかなかった。
「嫌だ……本当に嫌だ……」弱々しく呟いたが、拘束具は容赦なく彼女の体を支配し、意志を裏切らせた。彼女は自分の手が何度も魔法を発動し、破壊と危害をもたらしていくのをただ無力に見つめるしかなかった。
嵐と洪水の中で傷ついた人間や冒険者たちが奮闘する姿に、彼女の心は罪悪感と悲しみに打ち砕かれていった。彼女は全てを止めたい、拒みたい、逃げ出したいと切に願ったが、冷たい金属が無慈悲な裁判官のごとく彼女を縛り付け、そこから逃れる術はなかった。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」彼女は魔法を唱えるたびに、罪悪感を紛らわせるように低い声で謝り続けた。しかし、そんな言葉では到底、自分が引き起こした傷を償うことなどできないことを彼女は分かっていた。
彼女の魔法は蓮華城の防衛システムを破壊し、能力を悪用する組織に利便性をもたらした。彼女の制御下で、蔓は敵の兵器に絡みつき、激しい風は守備陣の陣形を散らし、洪水は援軍を遮断した。さらに絶望的だったのは、彼女の治癒魔法が、助けたくもない魔獣や敵にまで強制的に適用されることだった。
魔獣を治癒するたび、彼女の心の絶望と痛みは増していった。傷ついた魔獣たちが彼女の魔法によって徐々に力を取り戻し、再び人間を襲い始めるのを目の当たりにするたび、彼女は自らの魂が引き裂かれるように感じた。
「なぜ……なぜ私なのですか……」彼女は苦痛に目を閉じたが、手に握る長い杖はまだ冷たい光を放っていた。
ヴェルサニアは遠くから冷ややかな目でこの光景を見つめ、口元には嘲笑の笑みが浮かんでいた。まさに彼女が望んでいた状況だった――強者の意志が弱者に押しつけられ、いかに苦しもうと、相手は運命の支配から逃れられない。
リアは心の中で痛みと自責に苛まれていた。抵抗できないことは理解していたが、苦しむ人々を思うと悲しみを止められなかった。彼女が長い杖を振るたび、それはまるで心臓を刺すような衝撃だったが、彼女の体は命令を機械的に実行し、さらなる破壊と害をもたらしていった。彼女は圧倒的な痛みに押しつぶされそうになりながらも、かすれた声で「ごめんなさい……本当に……ごめんなさい……」と呟き続けた。
今、第4巻の章タイトルをどう命名するか考えていました。第4巻の内容にちなんで、タイトルは英語にすることに決めました。英語のタイトルを思い浮かべると、すぐに久保帯人の『BLEACH』が頭に浮かびます。彼のタイトルの付け方がとても好きです。内容を直球で表現するのではなく、間接的にその内容が伝わるようにしていて、とても深い意味が込められています。読者の皆さんにも気に入っていただけたら嬉しいです。どうぞお楽しみに!




