表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/68

赴任

俺は信繁の領地、飯田に向かっている。

「いきなり城主代理とは出世だな。」

マサムネはからかってくるが・・・


「責任が重いよ。しかも飯田なんて重要拠点じゃないか。」


「そうなのか?」


「飯田は美濃にも、三河、遠江にも出れるからね、今は敵はいないけど、打って出るなら重要だよ。」


「そうか、なら早めに開発しないとな。」


「うっ!胃が痛くなってきた・・・」

俺は先が思いやられていた。

「お兄ちゃん大丈夫?」


俺の馬の前に座らせていたユメが聞いてくる。

それを羨ましそうに籠の中からミユキが見ていた。


「ユメちゃん、大丈夫だから。それより、馬に長時間乗ってるけど疲れてない?」


「うん、大丈夫。おにいちゃん、と一緒だし、楽しいよ。」


「そうかい。ならいいんだけど。」


「ユメちゃん、お姉ちゃんと一緒に籠に乗りましょ?」


「ううん、馬がいいよ。おにいちゃんと一緒だし。」

ミユキとユメは笑顔でお互いを牽制していた。


「二人とも、もう到着だよ。」

目的地である飯田城が見えてきていた。


「あなたが信繁さまの家臣、ヒロユキ殿であるか?」

「はい、私がヒロユキですが、あなたは?」

「失礼、私は秋山虎繁、今日までこの飯田を管理していた者です。」


俺は歴史に名を残している秋山虎繁に会えて少し興奮していた。

「あなたが!御高名聞き及んでおります。今まで御苦労様にございます。」


秋山は少し照れながら、

「高名などとは・・・私は若輩の身、まだまだにございます。」


「謙遜をなされますな、あなたさまの活躍が武田家の飛躍に繋がるのです。

今後も宜しくお頼み申す。」


「もちろん粉骨砕身努力する所存であります。ヒロユキ殿、話はそれぐらいにして中へ、道中大変でしたでしょう。ささやかながら酒宴の準備をしております。

どうぞ中へ。」


「これは忝ない、旅の疲れを癒さしてもらいます。」

俺達は案内され城の中に入る。


酒宴の場にて、

「ヒロユキ殿、飲んでますかな?」

「虎繁殿、飲んでますよ、おっと、虎繁殿、まずは一献。」

俺は秋山に酒をつぐ。

「おっと、忝ない。して、ヒロユキ殿は今後如何に飯田を治めるのですかな?

おっと、返杯を。」


秋山に酒をそそがれながら、俺は話をする。

「そうですね、町をみてからというのもありますが・・・基本的には町を豊かにして兵を鍛えるといった所ですね。」


「ほう、口にするのは容易いですが、何かお考えが?」


「ええ、思い付く物も幾つかございます。それをやってみようと。」


「それは如何に?」


「そうですね・・・まずは酒を旨くしましょうか。他にない旨い酒は高く売れるでしょう。」


「何?酒を旨くですと?」


「ええ、楽しみにしててください。完成したら送りますよ。」


「ほう、それは楽しみだ。ワシはこの後、高遠に所属することになっておるので、出来たら送ってくれんか?」


「わかりました。待っててください。」

俺は秋山に軽く約束した。


酒宴の翌日、秋山は高遠に向かって行った。


そして、俺は・・・

「気持ち悪い・・・」

初めての酒に負けていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ